どのような実験でも、使用する試薬の調製に必要な器具はひょう量のための「電子天びん」です。電子天びんも、使用用途や求める機能、価格帯によって、様々なバリエーションが存在しています。
その中でも価格や機能で中間帯にある製品が「スタンダード」な天びんにあたりますが、使いやすさの面で満足されていますでしょうか。また、時代の流れに合った製品でしょうか。
このような中、使用性、柔軟性、持続可能性を重視し、電子天びんの「スタンダード」を再定義した新型電子天びん「Quintix® Proラボ天びん」が、電子天びんのリーディングメーカー:ザルトリウス社より発売されました。
今回は、この「Quintix® Proラボ天びん」の特長を、ザルトリウス・ジャパン株式会社・フィールドアプリケーションスペシャリスト・電子天びん担当の古関邦光氏に伺いました。
Quintix® Proラボ天びん
――古関さん、「Cubis® II シリーズ電子天びん」の記事以来となりますが、本日はよろしくお願いします。まずは、今回の新製品「Quintix® Proラボ天びん」について概要を教えてください。
よろしくお願いします。「Quintix® Proラボ天びん」は、これまでの当社ラボ天びん同様にお客様の期待に応えるだけでなく、その期待を大きく超える使いやすさや性能を持ちながらも、価格も手頃とした新しい電子天びんです。
Quintix® Pro|新たなスタンダードその1:卓越した使いやすさ
――最初に、「使いやすさ」について伺いたいと思います。これまでのQuintixシリーズ天びんと比べ、どのような面で「使いやすさ」が向上したのでしょうか?
まずはディスプレイです。これまでのQuintixシリーズ天びんよりも大きい、7インチの高解像度フルタッチグラフィックディスプレイを搭載しました。メニューオプションへのアクセスが非常に簡単です。よくあるヘルプトピックについても、デジタルマニュアルへのクイックアクセスが可能です。
――全ての入り口となる画面の操作のしやすさは、どのユーザーにとっても最優先事項ですからね。
――使いやすさというと、天びんの水平調節や内部調節の面でも、便利な機能がついているのでしょうか。
はい、ついています。これはオプションとはなりますが、オートレベリングによる自動水平調整機能です。また自動校正調整機能isoCALもついており、天びんの調整に不慣れな方でも安心してお使いいただけます。
――半自動フィルター適応(AFA)機能も改良されたとのことですが、このAFAとはいったいどのような機能でしょうか。
例えば状況によりエアコンの風による影響がでて天びんの指示値が安定しないなど、設置環境がよくない場合にもディスプレイ上のアイコンをタッチするだけで簡単に周囲環境に合わせた最適なセッティングを見つけることが可能です。通常ひょう量と、サンプルを継ぎ足して目標の重量まで量り取る際に使いやすい投与モードとの切り替えもワンタッチで変更でき、便利に天びんが使用できます。
――外部装置への接続によるデータ転送も簡単と聞きました。どのような接続用インターフェイスが搭載されているのでしょうか。
背面にはRS232シリアルインターフェイス、PC接続専用のUSB-Cインターフェース、ネットワーク経由でのシリアル通信に対応したイーサネットインターフェースを搭載しています。さらに当社プリンターやセカンドディスプレイ、FTDIケーブル、あるいはUSBメモリ接続が可能なUSB-Cインターフェースを背面と表示部横に2つと、非常に充実した通信ポートを備えています。
またPCダイレクト通信は、測定結果をご希望のMicrosoft® Officeソフトに直接落とし込むことができます。追加ソフト不要で表計算ソフトでの計算がすぐにでき、便利です。
――コンプライアンス管理が容易になり、監査等への対応もしやすくなりますね。
――使いやすさ、の一部に日々のメンテナンスも入りますが、この点はいかがでしょうか。前回のCubis IIの際は、クリーニング方法を指示してくれる、便利なオプションがありましたが。
メンテナンス面もご安心ください。Quintix® Proラボ天びんはシンプルなデザインながら、PBT(ポリブチレンテレフタラート)やガラス、ステンレススチールで耐薬品性のある素材を使用しています。これらの素材の使用は、クロスコンタミネーションの防止にも貢献します。
Quintix® Pro|新たなスタンダードその2:卓越した柔軟性を、誰でもどこでも!
――次にフレキシビリティ(柔軟性)の話に移ります。
さまざまな段階のユーザーが使用することを想定し、パスワードによる保護機能付きで、ユーザー毎の設定保存が可能となっています。ラボの国際化にも対応し、15の言語オプションにも対応しているので、日本に来ている海外の方も安心して使用できます。
設置場所については、クリーンルームのグレードA、Bはもちろんのこと、特殊な環境、例えば減圧、アルゴン、窒素下の使用についても試験済みです。
――環境やユーザーを選ばずに、使用できるのは柔軟性が高いですね。
もう一点追加するなら、一般的なひょう量作業に対応する15の内蔵アプリケーションも、便利な機能だと思います。
――その15の内蔵アプリケーションについて、どのような物が含まれますでしょうか?
以下の内容が含まれます。
1) ひょう量|投与
2) 単位変換
3) カウンティング
4) パーセントひょう量
5) 調・配合
6) 計算
7) 合計
8) 密度測定
9) 統計
10) チェックひょう量
11) 動物ひょう量
12) ピークホールド
13) ピペットスマートチェック
14) 差分ひょう量
15) 床下ひょう量
があります。
――これらの機能で、ほとんどの用途には対応できますね。
Quintix® Pro|新たなスタンダードその3:持続可能性(サステナビリティ)を意識!
――さて、次は持続可能性(サステナビリティ)についてです。環境保護というのはもう何十年も世界中で叫ばれており、日常生活だけではなく、ラボでの研究についてもその意識が求められてきています。このQuintix® Proラボ天びんは、サステナビリティに向けた取り組みとしてどのようなことがされていますでしょうか?
ザルトリウスはドイツを本社としていますので、サステナビリティを中心とした環境保護への意識はとても高いです。
実際の使用現場だけでなく、その意識・取り組みは製造工場から既に始まっています。
例えば、環境に配慮し、包装材や製品材料のアルミニウムなどリサイクル素材を使用しています。
Quintix® Proラボ天びんを製造しているドイツ・ゲッティンゲンの施設では、Quintix® Proラボ天びんファミリーの大部分を100%再生電力で製造しています。
また、紙の消費量を抑えるために、デジタルユーザーマニュアルを採用しています。
紙でつながるのですが、包装に使用している段ボールも、60%から100%のリサイクル素材を使っています。ドラフトシールド付きのQuintix® Proラボ天びんについて言えば、リサイクル素材を含む包装を70%以上にしています。
――機能面でのサステナビリティの取り組みについてはいかがでしょうか?
徹底した省電力機能が魅力的です。まず、スタンバイモードまたはスイッチオフモードによる省電力操作。次に、ユーザー定義による自動起動タイマーで、日々の使用時間に合うように機器の電源が入ります。また天びんが使用されていない時は自動調光機能で明るさを落とし、電力使用量を削減します。
――環境先進国・ドイツを本社とする貴社の、サステナビリティへの意識の高さがうかがえます。
Quintix® Pro|ラボでの日々のひょう量を、充実機能で快適・確実にします!
――最後に、日本のお客様に向けて、「Quintix® Proラボ天びん」のPRをお願いします。
新たなスタンダード天びんであるQuintix®Pro天びんは、通常このクラスにはないプレミアム機能を搭載し、機器のセキュリティ / データ管理が可能です。権限の付与とパスワードでのアカウント管理、自動ログアウト、設定変更の監査証跡、重量値の生データの自動記録機能が搭載されており、トレーサブルな機器管理が可能です。また簡易アプリケーションではございますが、ピペットの日常点検に使用可能なピペットスマートチェックを搭載しており、ピペットの精度管理に気をかけているお客様にも喜んでもらっております。デモ機もご用意しておりますので、機能や精度の確認をしていただくことも可能です。
ご不明な点がございましたら、ザルトリウス・ジャパン株式会社までご連絡下さい。
――古関さん、今回もありがとうございました。
ありがとうございました。
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