日々の実験で、再現性のある結果を得るために必要なことは何でしょうか?高価な試薬や使いやすい道具を選ぶことでしょうか?それらはもちろん大切な要素ですが、もっと基本に立ち返ると、天びんやピペットで正確な量をひょう量・採取することが何よりも大切です。
特に実験で最初の入り口となる、各種溶液類(バッファー等)の作製に必要な化学薬品類のひょう量は、電子天びんを使用して行います。デジタル表示で小数点以下、かなりの細かい桁まで測定できますが、使用を継続していると当然、汚れや測定のずれが生じます。その対処として、クリーニングを含めた定期的なメンテナンスが必要ですが、メンテンナンス作業の煩雑さやコストから、つい先延ばしにしていないでしょうか?また正しくメンテナンスできているか、不安ではないでしょうか?
このような電子天びんのメンテナンスを、誰でも簡単に・安心して行えるような工夫がされた、電子天びんで著名なメーカー:ザルトリウス社の新型高容量ミクロ天びん「Cubis® II ウルトラ ハイレゾリューション天びん」が、日本でも2023年6月に発売されました。
今回は、この「Cubis® II ウルトラ ハイレゾリューション天びん」の特長を、ザルトリウス・ジャパン株式会社・フィールドアプリケーションスペシャリスト・電子天びん担当の古関邦光氏に伺いました。
Cubis® II シリーズ電子天びん
――本日はよろしくお願いします。まずは、貴社の「Cubis® II シリーズ電子天びん」について概要を教えてください。
よろしくお願いします。「Cubis® II シリーズ電子天びん」は、2009年にザルトリウスがリリースした最初のモジュラー式電子天びん「Cubis」の流れを受け継ぐ、ザルトリウスのラインナップで最高峰のラボ用天びんシリーズです。モジュラー式ですので、様々な実験方法や手順に即したハードウェアやソフトウェア機能を選択できるフレキシビリティさがありながら、研究開発現場、化学分析の研究室で必要とされる正確性も兼ね備え、さらに製薬やGxP対応、データの処理・管理の効率化といったニーズにも対応した電子天びんです。
そして今回新たに発売した「Cubis® II ウルトラ ハイレゾリューション天びん」は、これまでのラボ用電子天びんにあった「大きなネック」を解決した、とてもユニークな製品となっています。
これまでの電子天びんの「大きなネック」とは
――「大きなネック」とのワードが出てきましたが、これまでの電子天びんのどのような部分が大きなネックだったのでしょうか?
この記事を読んでいる研究者の皆さまの中に、最後にいつ、電子天びんのクリーニングやメンテナンスを行ったか記録あるいは記憶している人はいるでしょうか?またクリーニングを行っていても、適切にできているかどうか、どこまでパーツを外して良いか、どのようなクリーニング剤を使用して良いか、といった所まで、完全に理解して作業できているでしょうか?そして、特に企業の方においては、クリーニングプロセスの文書管理は徹底されているでしょうか?分解能が高い天びんほど、ほんのわずかな残留物がひょう量結果に影響を及ぼし兼ねないため、正しいクリーニング法を理解した上で実施することが非常に重要です。この「正しいクリーニング法を理解して、清掃を実施する」ことが、多くの方にとってネックだと考えています。
Cubis® II ウルトラ ハイレゾリューション天びんの特長
――では、今回の新製品「Cubis® II ウルトラ ハイレゾリューション天びん」の特長を教えてください。
「Cubis® II ウルトラ ハイレゾリューション天びん」は、新しいクリーニングアプリを搭載しており、カラーディスプレイ上で表示される案内に従って操作するだけで、メーカー推奨の正しい クリーニングが実施できるという点が大きなポイントです。この機能だけで、先ほど述べたようなネックを解消できるはずです。(注1)
クリーニングには、「日常行うクリーニング」と、「入念なクリーニング(少なくとも四半期に一度、またはひどく汚れている場合に実施)」があります。日常のクリーニングは数ステップで完了します。入念なクリーニングは、各パーツを取り外して実施することになりますが、ご安心下さい。以下のように画面上で、手順ごとにわかりやすい画像で案内されますので、初めての方でもとても進めやすくなっています。
通常クリーニング時の操作案内画面
拡張クリーニング(入念なクリーニング)時の操作案内画面
またこれもCubis® II ウルトラ ハイレゾリューション天びんの大きな特長の一つですが、「工具不要で分解ができる」という点があります。分解したパーツは入念に掃除ができますし、耐薬品性の情報も公開していますので、そのような情報と案内に従って安心してクリーニング作業を進めてください。それでも、どうしても困ったら、ヘルプ機能を利用してください。
――これだけ分解しやすいと、例えばこぼしてしまった液体や固形物が装置の中に流れ込んでしまったりしないのでしょうか?
ご安心ください、その点も考慮して設計しています。ベースプレートは液体や固形物が装置の内部まで入り込まない構造を採用しており、最大50 mLまでの液体を保持できるようになっています。ただし、大量の液体や固形物が天びんの開口部(軸穴)に入ってしまったような場合は、ザルトリウスのサービス担当までご連絡・ご相談下さい。
クリーニングの記録も、アプリの設定でしっかり管理
――クリーニングの記録もアプリで残されるのでしょうか?
はい。アプリの設定によって、監査証跡に全てのクリーニングの実施記録がされ、任意でクリーニングのタイミングをお知らせする機能も搭載できます。
コストパフォーマンスに優れた、拡張性の高いCubis® II ウルトラ ハイレゾリューション天びん
――最後に、日本のお客様に向けて、「Cubis® II ウルトラ ハイレゾリューション天びん」のPRをお願いします。
Cubis® II ウルトラ ハイレゾリューション天びんは、ここでご紹介したようなクリーニングのしやすさはもちろん、拡張性にとても優れています。研究の進捗や実験での必要性に合わせて、本体の一部機能はアップグレードが可能です(注2)。わざわざ新しい天びんを購入する必要がなくなりますので、コストパフォーマンスにも優れています。研究にかかるコストを抑え、貴重な時間を研究へ多く割いて頂くためにも、ぜひザルトリウスのCubis® II ウルトラ ハイレゾリューション天びんをご利用ください。ご不明な点がございましたら、ザルトリウス・ジャパン株式会社までご連絡下さい。
――本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
(注1)Cubis® II表示コントロールユニットで、タイプ「MCA」を選択頂いた場合のみ。
(注2)Cubis® II表示コントロールユニットで、タイプ「MCA」を選択頂いた場合のみ。タイプ「MCE」を選択してご購入された場合、後からMCAの表示部に付け替えることはできません。
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