
株式会社サンフコが販売する、BBI Solutions社製の「Polystreptavidin R」は、ビオチン結合量を増やすことでアッセイ感度を向上させるリコンビナントストレプトアビジン のポリマーです。
ビオチン結合量を増やし、感度を向上させるストレプトアビジンのポリマー:BBI SOLUTIONS社「Polystreptavidin R」
BBI Solutions社について
BBI Solutions社は、30年以上に渡って免疫診断用製品の研究・開発向けに原料を提供する世界的な企業です。ラテラルフローを始めとした製品向けに、アッセイの開発、原料供給と製造、上市をサポートしています。主な供給原料には抗原、抗体、金ナノ粒子や標識物、酵素、血清・血漿などがあり、免疫診断用製品の原料供給、サービスプロパイダーとしての地位を確固たるものとしています。
アビジンとは?
アビジン(Avidin)という単語は、今から80年以上前の1941年5月発行「Science」誌で既に見られています。アビジンは生の卵白を動物に与えた場合に見られる「Egg-white injury」に関与し、ビオチン(ビタミンH、またはビタミンB7)と結合能を持つ「有害な」タンパク質という位置づけで報告されていました(1,2)。当時、Egg-white injuryに関与しているのは、ビオチンと結合能を持つ、卵白中の「アルブミン(albumin)」様の性質を持つフラクションによるものと考えられ、そのフラクションは「Hungry Albumin」の意味を表す「avidalbumin」という名称で一時的に名付けられていました(1)。先頭の「avid」は「貪欲な」という意味を表します。そしてこの直後の論文において、タンパク質とビオチンとの親和性から、現在使用されている「avidin」という名称で報告されています(3)。
アビジンの単量体は128アミノ酸長を持つ、分子量が約14.3 kDaのタンパク質で、4量体を形成します。アビジン単量体に1分子のビオチンが結合するため、4量体では最大4分子のビオチンが結合します。このアビジンとビオチンの親和性は高く(Kd=10-15 M)、非常に強力な非共有結合性を示します。
ストレプトアビジンとは? アビジンとの違い
1964年に細菌(Streptomyces avidinii)の培地から単離されたのが、アビジンと同様の性質を示す物質「ストレプトアビジン(Streptavidin)」です(4)。159アミノ酸長、約16.4 kDaの単量体につきビオチン1分子が結合します。ストレプトアビジンはホモ4量体を形成し、最大4分子のビオチンが結合する点はアビジンと同様です。グリコシル化されている塩基性のアビジンとは対照的に、ストレプトアビジンはグリコシル化されておらず、さらに中性に近い等電点(pI=6.1)を持ち、非特異的吸着が低くなっていることから、 ストレプトアビジンは研究、診断、臨床における多くのアプリケーションで使用されています。
一方で、ストレプトアビジンにはアミノ酸配列中の83~85 a.a.の位置に細胞接着モチーフ(RYD)が含まれることから、特定のアプリケーションにおいては非特異的結合が問題となる場合があります。
アビジン・ストレプトアビジンを利用したアプリケーション
アビジン・ストレプトアビジンの、最大4分子のビオチンと非常に強く結合するという性質は、様々な研究アプリケーションで利用されています。たとえば、酵素または蛍光標識したアビジン・ストレプトアビジンを、ビオチン標識した抗体と反応させることで免疫組織化学染色やELISA、蛍光アッセイでの反応増強・シグナルリードアウトに用いたり、チップやメンブレンなどの担体に固相化し、ビオチン化したリガンドあるいは細胞と結合させるなどの方法で利用されています。また、研究分野だけでなく、がん治療(プレターゲッティング法)などの臨床現場でも活用されています。
ストレプトアビジンのビオチン結合量を向上!BBI SOLUTIONS社Polystreptavidin R
通常のストレプトアビジンは最大4分子までしかビオチンを結合できませんが、この結合量を増強し、アッセイ感度を向上させるのがBBI SOLUTIONS社のPolystreptavidin Rです。
通常のストレプトアビジン(4量体)の分子量がおよそ55 kDaであるのに対し、Polystreptavidin Rはストレプトアビジンが30~350個程度クロスリンクしたポリマーで、分子量はおよそ2,000~20,000 kDaです。ビオチンの結合量が従来のストレプトアビジンよりも大幅に増えるため、特にラテラルフローのストリップにおいて試薬の使用量とコスト削減を期待できます 。

Polystreptavidin RはStreptavidinをリンカーでつなげて多量体化しており、結合可能なビオチン数を多くしている。

標識された抗体と結合し、毛細管現象で上部に移動。ビオチン標識された抗体がStreptavidinまたは
Polystreptavidinと結合し、陽性ラインとして表示される。サンプル中に測定対象物質が含まれなければ
金コロイド標識抗体と結合しないため、陽性ラインは表示されない。
Polystreptavidin Rは、このStreptavidinのビオチン結合部位を物理的に多く(大きく)
することで、感度の向上が期待できる。
BBI SOLUTIONS社Polystreptavidin Rの特長
- ビオチン結合量が実質的に向上し、その結果、アッセイ感度が向上します。
- ビオチン結合量の増加に伴い、試薬使用量が減少し、コスト削減が期待できます。
- 通常のストレプトアビジンよりも熱安定性と化学的安定性が向上しており、使いやすくなっています。
- コーティングやスポッティングがしやすい、安定剤を含まない液体濃縮品です。
- シグナル/ノイズ比が高くなっています。
- 非特異的結合が低くなっています。
- 保存期間が長く、製造日より2年間です。
BBI SOLUTIONS社Polystreptavidin Rのアプリケーション例
・ラテラルフローアッセイ
・ELISA
・CLIA
を含む、ビオチン化された状態のタンパク質・ペプチド・PCR断片やハプテンなどを、固相にコーティングしたPolystreptavidin Rで捕捉するアプリケーションで推奨されます。
BBI SOLUTIONS社Polystreptavidin Rのデータ例

Polystreptavidin RはビーズアッセイでStreptavidinよりも高い感度を示した(上図左)。
またラテラルフローでも、Polystreptavidinの方がStreptavidinよりも高感度で、より低い検出限界を実現した(上図右)。
BBI社開発のCRP抗原およびCRP抗体ペアを用いて、ニトロセルロース上にPolystreptavidinをコートした
ラテラルフローアッセイでも、良好な結果を示した(下図)。
BBI SOLUTIONS社Polystreptavidin Rは世界中で愛用されています!
BBI SOLUTIONS社Polystreptavidin Rはヨーロッパ、アメリカを中心に多くのバルク(大量)購入中のお客様がいます。主にラテラルフローで使用されており、シグナルを増強し、市場へ新製品を迅速に投入するための万能な捕捉システムをお探しのお客様が使用されています。 基礎研究でメンブレンへのPolystreptavidin R固相化によるラテラルフロー系の研究開発や、磁気ビーズへの使用にもお薦めです。
BBI SOLUTIONS社Polystreptavidin R 製品情報
数量限定!先着順で無償サンプル提供中です。
ご希望の方は「お問い合わせ先」記載の連絡先までご連絡ください。
商品コード | 10120100 |
品名 | Polystreptavidin R |
容量 | 1 mg/vial、5 mg/vial、10 mg/vial |
由来 | Streptomyces avidinii |
宿主 | E. coli |
分子量 | 2,000~20,000 kDa (Field-Flow-Fractionation技術で測定) |
形状 | 液体 |
濃度 | > 2.5mg/ml |
保存温度 | 2~8℃ (凍結禁止:凝集により、安定性が低下します。) |
保存期間 | 製造日より2年間 |
BBI SOLUTIONS社では通常のストレプトアビジンも製造しています!
BBI SOLUTIONS社では、ウェスタンブロット、ELISA、免疫組織化学染色や蛍光イメージングなどの一般的なアッセイに使用される、通常のストレプトアビジン(4量体)も製造しています。このストレプトアビジンは、Polystreptavidin Rの原材料にもなっています。
商品コード | 10110010 |
品名 | Recombinant Streptavidin |
容量 | 5 mg/vial |
由来 | Streptomyces avidinii |
宿主 | E. coli |
分子量 | ~ 55 kDa(非還元下)、~ 11 kDa(還元下) ※SDS-PAGEにて |
純度 | > 95% ※SDS-PAGEにて |
形状 | 凍結乾燥粉末 |
保存温度 | -20℃ |
会社情報(お問い合わせ先)
会社名 | 株式会社サンフコ |
部署名 | バイオ営業部 |
住所 | 東京都千代田区鍛冶町1-8-3神田91ビル8階 |
TEL | 03-3255-2460 |
FAX | 03-3255-0787 |
Website | https://www.sunfco.com/ |
biosolutions_sales@sunfco.com |
参考文献
- György P, Rose CS, Eakin RE, Snell EE, Williams RJ. EGG-WHITE INJURY AS THE RESULT OF NONABSORPTION OR INACTIVATION OF BIOTIN. Science. 1941 May 16;93(2420):477-8. doi: 10.1126/science.93.2420.477. PMID: 17757050.
- György P, Rose CS. CURE OF EGG-WHITE INJURY IN RATS BY THE “TOXIC” FRACTION (AVIDIN) OF EGG WHITE GIVEN PARENTERALLY. Science. 1941 Sep 12;94(2437):261-2. doi: 10.1126/science.94.2437.261. PMID: 17792887.
- Eakin RE, Snell EE, Williams, RJ. The Concentration and Assay of Avidin, the Injury-producing Protein in Raw Egg White J. Biol. Chem. 1941 140, 535–543
- Tausig F, Wolf FJ. Streptavidin–a substance with avidin-like properties produced by microorganisms. Biochem Biophys Res Commun. 1964;14:205-9. doi: 10.1016/0006-291x(64)90436-x. PMID: 5319841.