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株式会社サンフコが販売する、BBI Solutions社製の「Human Transferrin」は、ISO13485認証下で製造されたヒトトランスフェリンです。細胞培養(特に無血清培地での培養)や組織培養用の添加物として研究から開発まで幅広く使用できます。

細胞培養に最適!ISO13485認証下で製造されたBBI SOLUTIONS社「Human Transferrin(ヒトトランスフェリン)」

トランスフェリンとは?

トランスフェリン(Transferrin、Tf)は、主に肝臓で産生される、679アミノ酸長(ヒトの場合。シグナル配列を含むと698アミノ酸)(1)、分子量が約77 kDaの糖タンパク質です。トランスフェリンはヒトの体内で必須の微量金属である鉄をFe3+の状態で結合し、血流に乗って体内の各組織へ運ぶ機能を持っています。鉄イオンが結合しているトランスフェリンをホロトランスフェリン(Holo transferrin)、鉄イオンが結合していないトランスフェリンをアポトランスフェリン(Apo transferrin)と呼びます。1分子のトランスフェリンは2つのFe3+と結合することができ、運ばれたFe3+はトランスフェリンレセプターを介して細胞内に取り込まれます。取り込まれたFe3+はFe2+に還元され、様々な生体反応で利用されます。
生体の組織や細胞だけでなく、口腔内常在菌のStreptococcus intermediusがヒトのトランスフェリンを鉄の供給源としている報告(2)がある他、近年の研究では、トランスフェリンレセプターがフェロトーシス(Ferroptosis、鉄依存性細胞死)マーカーとして重要な役割を果たしており、新型コロナウイルス感染症での肺病変への関与などが示唆される(3)など、トランスフェリン、トランスフェリンレセプターと関連する物質の研究が注目されています。

鉄とトランスフェリンの関係

鉄は必須の微量金属として酸素の運搬やDNA合成、細胞増殖や電子運搬の役割を持ちますが、遊離鉄はフリーラジカルの形成をもたらし、組織へダメージを与えることから(4)、タンパク質等に結合した状態で存在してダメージを防いでいます。そのため、培養系へ安全に鉄を供給し、細胞増殖をサポートする方法として、鉄イオンが結合しているトランスフェリン(ホロトランスフェリン)を添加する方法が取られています。
トランスフェリンの添加は特に無血清培養系で細胞増殖をサポートする目的で使用されますが、その他にも幹細胞(5)、初代細胞、細胞ベースでのワクチン開発ライン、CHO細胞やハイブリドーマでの抗体製造ラインでも使用されることがあります。

トランスフェリンの種特異性についての研究

1990年にイギリスの研究者によって発表された異種動物間でのトランスフェリン―トランスフェリン受容体の結合親和性についての研究では、ヒト細胞の培養にウシ血清由来のトランスフェリンを使用した場合、細胞への鉄供給効率が落ちることが報告されています(6)。そのため、無血清培地を用いてヒト細胞の培養をする場合、ヒトのトランスフェリンを使用することで培養効率の向上が期待されます。

高品質なBBI SOLUTIONS社「Human Transferrin」の特長

30年以上に渡って免疫診断用製品の研究・開発向けに原料を提供するBBI Solutions社は、拡大するトランスフェリンの需要をとらえ、増強された生産設備で品質の高いヒトトランスフェリンを製造しています。

BBI SOLUTIONS社「Human Transferrin」の特長

  • ISO13485認証下で製造されています。自社で製造していますので、製造をコントロールでき、安定供給が可能です。
  • アメリカ国内のライセンスを受けた施設で採取された、正常ヒト血漿から製造しています。ドナーは国内の規則に則った同意と健康状態のスクリーニングを受けています。
  • リスク評価や認証に必要な、トレーサビリティの情報が提供可能です。
  • 62℃± 2℃、10時間の熱処理と0.2 μmのフィルターを通して滅菌されており、低エンドトキシン・マイコプラズマフリーです。(微量のバッファー塩を含むことがあります。)
  • Holo transferrinは高い鉄含有量となっています(1,200-1,700 μg/g)。

BBI SOLUTIONS社「Human Transferrin」が選ばれる理由

ヒトトランスフェリンは多くのメーカーからも提供されていますが、BBI SOLUTIONS社「Human Transferrin」は以下の点で優位性があります。

特長BBI SOLUTIONS競合A(組換え)競合B(血漿由来)
純度98%以上~90%95%
エンドトキシン≤1 EU/mg≤5 EU/mg≤2 EU/mg
鉄含量ApoおよびHoloから選択可限定Holoのみ
ウイルス安全性加熱処理 + NAT検査組換え(低リスク)ばらつきあり
規制対応ISO 13485、PMF利用可ISO 9001のみトレーサビリティ不足

BBI SOLUTIONS社「Human Transferrin」のアプリケーション例

  • 細胞培養(幹細胞培養)や組織培養での添加剤として
  • 無血清培地での添加剤として:補助成分として使用し、細胞増殖を促進します
  • バイオ医薬品の開発と製造:モノクローナル抗体生産研究など
  • ワクチン開発研究:ウイルスベクター生産の研究など
  • 遺伝子細胞療法の研究:CAR-Tおよび再生医療研究とその応用など
  • 高度な細胞培養モデルの作製:疾患モデリングのためのオルガノイド開発、薬剤スクリーニングプラットフォームのための3D腫瘍モデル作製など
  • 鉄の精密な添加実験:あえて鉄を含まない状態で細胞に供給することで、鉄添加による影響を観察する研究用途など
  • 鉄過剰による毒性回避:Apo Transferrinは鉄を容易に取り込み、培地中の過剰な鉄イオンを吸着することで、細胞毒性を防ぐ役割があります
  • 造血幹細胞(造血前駆細胞)から赤血球へ分化させる際の添加剤として、BBI社Holo Transferrinを使用(7,8)

BBI SOLUTIONS社の「Human Transferrin」活性データ例

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図1:Apo Transferrinの生物活性データ
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図2:Holo Transferrinの生物活性データ
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図3: ApoおよびHolo Transferrinの電子常磁性共鳴(EPRまたは電子スピン共鳴;ESR)による
測定結果

BBI SOLUTIONS社「Human Transferrin」製品情報

商品コードT100-5T101-5
品名Apo TransferrinHolo Transferrin
容量1g、10g、50g
(大容量はご相談ください)
1g、10g、50g
(大容量はご相談ください)
原材料ヒト血漿ヒト血漿
原材料の由来国アメリカアメリカ
鉄含有量< 50 μg/g(ppm)1,200–1,700 μg/g(ppm)
純度>98%
(SDS-PAGE [CBB染色])およびセルロースアセテート電気泳動)  
>98%
(SDS-PAGE [CBB染色])およびセルロースアセテート電気泳動)  
エンドトキシン量≤ 1 EU/mg (LAL assay)≤ 1 EU/mg (LAL assay)
形状凍結乾燥粉末凍結乾燥粉末
保存冷蔵・凍結禁止冷蔵・凍結禁止

会社情報(お問い合わせ先)

会社名株式会社サンフコ
部署名バイオ営業部
住所東京都千代田区鍛冶町1-8-3神田91ビル8階
TEL03-3255-2460
FAX03-3255-0787
Websitehttps://www.sunfco.com/
E-mailbiosolutions_sales@sunfco.com

参考文献

  1. https://www.uniprot.org/uniprotkb/P02787/entry
  2. Brochu V, Greinier D, Mayrand D. Human transferrin as a source of iron for Streptococcus intermedius.
    FEMS Microbiol Lett. 1998 Sep 1;166(1):127-33. doi: 10.1111/j.1574-6968.1998.tb13193.x. PMID: 9741090.
  3. Qiu B, Zandkarimi F, Saqi A, Castagna C, Tan H, Sekulic M, Miorin L, Hibshoosh H, Toyokuni S, Uchida K, Stockwell BR. Fatal COVID-19 pulmonary disease involves ferroptosis.
    Nat Commun. 2024 May 20;15(1):3816. doi: 10.1038/s41467-024-48055-0. PMID: 38769293; PMCID: PMC11106344.
  4. Conrad ME, Umbreit JN. Iron absorption and transport-an update.
    Am J Hematol. 2000 Aug;64(4):287-98. doi: 10.1002/1096-8652(200008)64:4 PMID: 10911382.
  5. Devaraju N, Rajendiran V, Ravi NS, Mohankumar KM. Genome Engineering of Hematopoietic Stem Cells Using CRISPR/Cas9 System.
    Methods Mol Biol. 2022;2429:307-331. doi: 10.1007/978-1-0716-1979-7_20. PMID: 35507170.
  6. Young SP, Garner C. Delivery of iron to human cells by bovine transferrin. Implications for the growth of human cells in vitro.
    Biochem J. 1990 Jan 15;265(2):587-91. doi: 10.1042/bj2650587. PMID: 2302189; PMCID: PMC1136924.
  7. Bernecker C, Lima M, Kolesnik T, Lampl A, Ciubotaru C, Leita R, Kolb D, Fröhlich E, Schlenke P, Holzapfel GA, Dorn I, Cojoc D. Biomechanical properties of native and cultured red blood cells-Interplay of shape, structure and biomechanics.
    Front Physiol. 2022 Aug 16;13:979298. doi: 10.3389/fphys.2022.979298. PMID: 36051915; PMCID: PMC9424772.
  8. Wilhelm LP, Zapata-Muñoz J, Villarejo-Zori B, Pellegrin S, Freire CM, Toye AM, Boya P, Ganley IG. BNIP3L/NIX regulates both mitophagy and pexophagy.
    EMBO J. 2022 Dec 15;41(24):e111115. doi: 10.15252/embj.2022111115. Epub 2022 Oct 10. PMID: 36215693; PMCID: PMC9753467.