様々なサンプル中の測定対象因子を、抗体を用いた技術で簡単に定性・定量ができるELISA(酵素結合免疫吸着測定法)ですが、そのサンプルや対象の動物種にふさわしいアッセイを選択することは、日々の研究において正確で信頼性のある結果を得るために大変重要です。
オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)は、各種バイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,500本以上の文献で使用されています。
今回は、Biomedica社から「適切なELISAの選び方」についての提言を特集します。
適切なELISAの選び方
Biomedica社では、適切なELISAを選択するにあたり注目するべき項目として、以下の8点を挙げています。
- 感度とダイナミックレンジ
- 特異性と交差(反応)性
- 対応しているサンプル(試料)
- バリデーション(検証)と品質管理
- キットコンポーネント(構成品)と保存
- 使いやすさ
- 使用文献と参考文献
- カスタマーサポート
これらのポイントについて、以下で述べていきます。
感度とダイナミックレンジ
想定される濃度で因子を検出できるかどうか、ELISAプロトコル冊子のデータを確認しましょう。
高感度のアッセイは、低感度のアッセイよりも様々なダイナミックレンジを提供します。
ダイナミックレンジは、測定因子を正確に定量できる濃度範囲を示しています。
特異性と交差(反応)性
目的の対象因子のみを検出できるかどうか、添付のマニュアルやウェブサイトを確認しましょう。
対応サンプル(試料)
サンプルのマトリクス(血清、EDTA血漿、ヘパリン血漿、クエン酸血漿、細胞培養上清、尿など)に、そのELISAが適しているか確認しましょう。
バリデーションと品質管理
厳格なバリデーションと品質管理を経たELISAアッセイを選びましょう。
製造メーカーのウェブサイトや、バリデーションと性能特性(精度、正確性、平行性、サンプルの安定性など)の情報を確認しましょう。
キットコンポーネントと保存
ELISAキットが全ての必要な構成品、すなわちコントロール、アッセイ希釈バッファーなどを含むかどうか確認しましょう。保管温度や有効期限など、保存要件を考慮します。
使いやすさ
そのELISAが、ユーザーフレンドリーな仕様、例えばReady-to-useのスタンダードや、試薬が色で識別されていて、わかりやすい操作方法を提供しているかどうか確認しましょう。
使用文献と参考文献
製造メーカーのウェブサイトなどで、そのELISA製品の使用文献リストを確認しましょう。
併せて、参考文献も確認し、候補のELISAを使用している他の研究者のフィードバックも調査しましょう。
カスタマーサポート
そのメーカーが、迅速かつ有益なカスタマーサービスを提供しているかも重要な要素です。
なぜBiomedica社のELISAが選ばれている?
Biomedica社は、ターゲット特異的で、高い信頼性と再現性のある高品質なELISAキットを幅広く提供しています。
日本では、Biomedica社のELISAキットを代理店のフナコシ株式会社よりご購入頂けます。(メーカー略称:BMC)
※日本では全て「研究用」試薬として販売されています。
Biomedica社のELISAキットが優れている点は、以下の通りです。
1. 特異性-正確なバイオマーカー検出のための、エピトープ/性能評価済み抗体
ELISAの性能は、バイオマーカー検出に使用される抗体ペアの品質に関連しています。
Biomedica社のELISAは、マッピングされた結合部位に高い親和性と特異性を持つ抗体を使用しており、さらに健常および臨床サンプルの両方でのバイオマーカー定量に最適化されています。
以下の例は、正常および疾患サンプルでの、血漿中Fibroblast Growth Factor(FGF23)測定値を示しています。
2. 信頼性
Biomedica社のELISAは、国際的な品質ガイドライン(FDA、EMEA)に沿って広くバリデーションを行っています。また臨床サンプルを用いて様々なサンプルマトリクスで正確性、平行性/希釈線形性、精度、測定因子の安定性などを検証しています。
2. 1 正確性
正確性は、臨床サンプル中のバイオマーカーの正確な検出、またそのバイオマーカーと干渉する可能性のあるマトリクス効果の排除によって定義されます。
正確性は既知量のリコンビナント因子をサンプルに添加(スパイク)して決定されます。バリデーションは目的のサンプルの種類全てで実施されています。
サンプル中のターゲット濃度は、ELISAの標準曲線に基づいて求められ、公称値と比較されます。
2. 2 線形性/希釈直線性
線形性では、厳密な品質管理ガイドラインにより保証される、ELISAキットのロット間一貫性を検査します。
アッセイバリデーションでは、内在性/リコンビナントの目的因子を含む希釈サンプルで因子のリカバリー(回収率)を解析します。
以下の例は、内在性およびリコンビナントNeuropilin-1 (NRP1)を含む各サンプルの、希釈直線性(平行性)を示しています。
2.3 特異性および交差性
Biomedica社のELISAでは、目的の因子のみを検出する抗体が選択されています。特異性試験では、抗体-抗原相互作用の特性評価、および抗体に結合しうる潜在的なアイソフォームを確認しています。
以下は、ウェスタンブロットでターゲット因子の3つ全てのアイソフォームを認識する抗体の例です。
2.4 感度
全てのBiomedica社のELISAは、測定因子のシグナルを最大化しながら、バックグラウンドシグナルを最小限にすることで、最大の感度を保証するように最適化されています。
定量下限(LLOQ)と定量限界(LOD)データの両方が、使用説明書およびとBiomedica社ウェブサイトに記載されています。
2.5 精度
Biomedica社のELISAは、正確で再現性のある結果を同一ロット内および異なるロット間で可能としています。
このために、Biomedica社ではアッセイ内およびアッセイ間での精度を繰り返し試験しています。
これにより、異なるロットのキットを使用した際の、結果の正確性を保証します。
2.6 キャリブレーション
バイオマーカーの正確な定量は、標準曲線の線形性と再現性に依存しています。標準曲線間のばらつきを最小限にするため、アッセイの最適化処置が取られています。
可能な場合は、WHOリファレンス試薬を使用して標準化と整合性のある結果を促進しています。
以下の例は、FGF23 ELISAの4PL変換後の標準曲線です。測定のばらつきは、エラーバーで表示されています。
2.7 安定性
全てのキット構成品の安定性と、それぞれのサンプルマトリクス(血清、血漿)中での目的因子の安定性を、開発中に試験しています。
例えば、目的因子の濃度が上昇した臨床サンプルに、複数回の凍結融解を施しています。
以下の例は、様々なサンプルマトリクスにおける複数回の凍結融解(F/T)サイクル後の、バイオマーカーPeriostin(POSTN)の安定性を示しています。
2.8 バリデーションレポート
全てのBiomedica ELISAアッセイバリデーションレポートは、Biomedica社ELISA各製品ページからダウンロードできます。
3. 再現性
全てのBiomedica社ELISAキットは、ロット間の一貫性や、保存期間中のキットの安定性試験を含め、厳格な品質管理プロセスを経ています。
ロット間一貫性を確保する、精度管理標準試料
Biomedica社の内部品質管理(QC)パネルは、製造プロトコルで不可欠な部分の一つです。パネルには天然/内在性の因子を含む様々なマトリクス(血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、等)からのサンプル、またそれぞれのリコンビナントタンパク質を添加したサンプルを含んでいます。これらの標準試料サンプルは、全ての新ロットと保有している製品全てで試験しています。
以下は、NT-proANP ELISA キット3ロットにおける内部コントロール(IC)の傾向の例です。
4. 高品質なカスタマーサービス
フナコシ株式会社のカスタマーサービス担当は、Biomedica社と協力して、お客様の研究における判断の決定から技術的な質問まで、お客様をサポートします。
製品に関する日本でのお問い合わせ先
Biomedica社製品は,フナコシ株式会社を通してご購入頂けます。
製品についての技術的なご質問は,
フナコシ株式会社 テクニカルサポート部
電話:03-5684-1620
FAX:03-5684-1775
E-mail:reagent@funakoshi.co.jp
までお問い合わせください。
会社情報
会社名 | Biomedica Medizinprodukte GmbH |
部署名 | |
住所 | Divischgasse 4, 1210 Vienna, Austria |
TEL | +43 12910745 |
FAX | |
Website | https://www.bmgrp.com/ |
info@bmgrp.com |