免疫細胞は骨髄で産生されることから、骨と免疫系は密接に関連しています。骨の治癒と修復も、免疫反応の役割の一環です。
今回の記事では、骨と免疫系の関連について、RANKL / RANK / OPG (Osteoprotegerin)系の視点から特集します。
オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)は、各種バイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,500本以上の文献で使用されています。
優れた品質を誇る、Biomedica社の測定キットをぜひご利用ください。
「骨免疫学」という考え方
序文でも述べた通り、骨と免疫系は密接に関係しています。
骨免疫学の考え方では、免疫細胞と因子がそれぞれ骨の健康とリモデリングにどのように影響しているか、骨と免疫系の相互作用を研究することで明らかにしようとしています。そして炎症性疾患や自己免疫疾患では、骨と免疫系のバランスが崩れ、骨に問題を引き起こす可能性があります。
またホルモンは骨と免疫系両方のシステムに関与し、ビタミンDにより骨の健康と免疫機能の両方に影響を及ぼします。
よって、骨と免疫系の相互作用を理解することは、自己免疫疾患やがんにより誘導される骨疾患の範囲の治療方法検討に有用です。
RANKL / RANK / OPG系
RANKL / RANK / OPG系は、骨の健康および様々な生理学的プロセスの重要な調節メカニズムで、3つの必須のシグナル伝達分子から構成されています。
RANKL / RANK / OPG系の調節不全は、骨障害や免疫関連疾患をもたらす可能性があるため、この系をターゲットとする治療法の重要性が提言されています。
RANKL
RANKL(Receptor Activator of Nuclear Factor κB-Ligand)は、骨吸収に関与する「破骨細胞」の形成と活性化に関与しています。このプロセスは破骨細胞形成として知られています。
RANKLには、膜貫通型および可溶型(sRANKL)の二つの型があります。
RANKLは骨細胞上の受容体RANKと相互作用し、骨細胞の活性化を誘導することで骨分解をもたらします。
その他のRANKLの重要な役割は、免疫反応調節と呼ばれる免疫系への関与です。RANKLと免疫細胞、特にT細胞および樹状細胞との相互作用は、免疫細胞の挙動、免疫寛容および免疫細胞機能の様々な面に影響します。
RANK
RANK(Receptor Activator of Nuclear Factor κB)はRANKLの効果を仲介する細胞表面受容体です。
破骨細胞およびその前駆体の表面に存在するRANKとRANKLが結合すると、破骨細胞の分化、活性化および生存をもたらす、一連のシグナル伝達を引き起こします。
このプロセスは、体内の骨リモデリング、修復およびミネラル恒常性の維持に関与しています。
またRANKは破骨細胞だけでなく、乳腺、および前立腺がんや乳がんなど転移可能性の高い、いくつかのがん細胞にも発現しています。
Osteoprotegerin
Osteoprotegerin(OPG)は、RANKLの天然アンタゴニストです。OPGとRANKLのバランスは、骨の健康維持に重要です。
OPGはRANKLのデコイ受容体として作用し、RANKとの結合を防ぐことで、破骨細胞形成及び骨吸収を阻害します。RANKL/OPG比の不均衡は、骨粗しょう症またはその他の骨関連障害などの疾患につながることがあります。
RANKL / OPGの測定キット – Biomedica社から提供
Biomedica社は、RANKLおよびOPG量を測定するための高品質なアッセイキットを提供しています。
日本ではBiomedica社のELISAキットを代理店のフナコシ株式会社よりご購入頂けます。(メーカー略称:BMC)
キットの特長
- オーストリア・Biomedica社で製造開発されています。
- 多くの研究と論文で使用されています。
- 徹底したバリデーションを行っています。
※日本では全て「研究用」試薬として販売されています。
soluble free RANKL (sRANKL)
RANKL(receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand)は骨芽細胞から分泌され、破骨細胞前駆体と成熟破骨細胞上のRANK受容体と結合します。RANKLは骨吸収を促進します。Biomedica社のsRANKL ELISAキットは、複合体を形成していない、遊離のsRANKLのみを測定します。
- 商品コード:BI-20462
- サンプル種:血清、ヘパリン血漿
- サンプル量:150 µl / well
- 感度:0.01 pmol/l (= 0.2 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 2 pmol/l (= 0 – 40 pg/ml)
- 交差性:霊長類とヒトの間では、配列の相同性が>95%。これらの種では交差する可能性がある。
- 精度:精度: アッセイ間(n=12):≤ 3 % CV;アッセイ内(n=5):≤ 5 % CV
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:300件以上の使用文献があります!Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
Osteoprotegerin (OPG)
Osteoprotegerin(OPG)は、骨を合成する骨芽細胞で産生され、骨吸収を阻害します。OPGはデコイ受容体として、そのリガンドであるRANKLと高い親和的で結合し、RANKLと受容体RANKとの結合を妨げ、破骨細胞の分化を阻害します。
- 商品コード:BI-20403
- サンプル種:血清、EDTA血漿、ヘパリン血漿、クエン酸血漿
- サンプル量:20 µl / well
- 感度:0.07 pmol/l (= 1.4 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 20 pmol/l (= 0 – 400 pg/ml)
- 交差性:ラット、マウスには交差しない。
- 精度:精度: アッセイ間(n=12):≤ 5 % CV;アッセイ内(n=5):≤ 3 % CV
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:250件以上の使用文献があります!Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
製品に関する日本でのお問い合わせ先
Biomedica社製品は,フナコシ株式会社を通してご購入頂けます。
製品についての技術的なご質問は,
フナコシ株式会社 テクニカルサポート部
電話:03-5684-1620
FAX:03-5684-1775
E-mail:reagent@funakoshi.co.jp
までお問い合わせください。
日本人研究者による参考文献
- RANKL biology: bone metabolism, the immune system, and beyond.
Ono T et al., Inflamm Regen. 2020: 7;40:2. PMID: 32047573. - RANKL and RANK in Cancer Therapy.
Onji M et al., Physiology (Bethesda). 2023: 1;38(3):0. PMID: 36473204. - Osteoclast differentiation in rheumatoid arthritis.
Yokota K. Immunol Med. 2023: 13:1-6. PMID: 37309864. - Discovery of RANKL and the current and future impact of its research.
Yasuda H et al., Nihon Yakurigaku Zasshi. 2023: 158(3):247-252. PMID: 37121707.
会社情報
会社名 | Biomedica Medizinprodukte GmbH |
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