毒性試験、心臓、安全性、バイオマーカー


バイオマーカーは生物学的な変化の指標として長く使用されています。医薬品開発において、バイオマーカーは薬効の予測因子として、そして潜在的な薬物毒性を示す役割を果たすこともあります。
特に心毒性は、医薬品開発における前臨床安全性試験失敗の主な要因です。そのため、心臓安全性についてのバイオマーカーは、創薬において心毒性をモニターするために活用されています。
今回の記事では、ナトリウム利尿ペプチドグループに属する前臨床安全性バイオマーカー:NT-proANPおよびNT-proBNPに焦点を当てて特集します。

オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)は、各種バイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,500本以上の文献で使用されています。

優れた品質を誇る、Biomedica社の測定キットをぜひご利用ください。

心臓のバイオマーカー:ナトリウム利尿ペプチドグループのNT-proANPおよびNT-proBNP

NT-proANPとNT-proBNPは、心筋の伸長に応答して放出される心臓ホルモンです。ナトリウム利尿ペプチドのグループに属しており、ヒトおよび前臨床試験の両方で心臓のバイオマーカーとして機能します。これらのペプチドは、前臨床毒性研究で使用するための優れたバイオマーカーであることが実証されています。

Biomedica社では、ヒトおよびげっ歯類サンプルの心臓バイオマーカーであるNT-proBNPとNT-proANP測定に、信頼性の高いELISAキットを提供しています。

NT-proANP:ラットでの薬物誘発性肥大マーカー

心肥大検出ツールとしての、ラットNT-proANP測定の有用性は、多くの前臨床試験によって実証されています(3、4、6、7)。
例えば、Biomedica社のNT-proANP ELISA(カタログ番号BI-20892)を使用し、ラットのNT-proANPを測定した研究所間比較研究では、Predictive Safety Testing Consortium and Cardiac Hypertrophy Working Group(PSTC-CHWG)によって、様々な研究所の設定での有用性が示されました。

このことから、Biomedica社NT-proANP ELISAアッセイは、SDラットの血清NT-proANP濃度の検出に、堅牢で技術的に適切であることが実証されました(6、7)。

Biomedica社 NT-proANP/NT-proBNP ELISAキット

Biomedica Medizinprodukte GmbH(以下、Biomedica)は、オーストリア・ウィーンを本拠とする会社で、臨床研究における様々なバイオマーカーの測定に適用できる高品質なELISAキットを製造開発しています。Biomedica社のELISAアッセイキットは、日本ではBiomedica社のELISAキットを代理店のフナコシ株式会社よりご購入頂けます。(メーカー略称:BMC)

Biomedica社のELISAキットは国際的な品質ガイドラインに沿って厳密にバリデーションされています。アッセイは世界中で使用され、1,500報以上の文献で引用されています。

キットの特長

  • オーストリア・Biomedica社で製造開発されています。
  • 多くの研究と論文で使用されています。
  • FDA/ICH/EMEAの国際的な品質ガイドラインに沿って、キットのバリデーションを行っています。

※日本では全て「研究用」試薬として販売されています。

NT-proANP

  • 商品コード:BI-20892
  • サンプル種:ヒト・ラット・マウスの血清、血漿(EDTA、クエン酸、ヘパリン)、尿、細胞培養上清
    ※ NT-proANPの種間配列相同性が高いことから、ヒトサンプルだけでなく、げっ歯類(ラット、マウス)にも使用できます。ウサギ、イヌ、ネコについてはBiomedica社へお問い合わせ下さい。
  • サンプル量:10 µL / well
  • 感度:0.05 nmol/l (= 0.64 ng/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 10 nmol/l (= 0 – 127 ng/ml)
  • 特異性:内在性およびリコンビナントヒトNT-proANP(proANP 1-98と同等)
  • 交差性:他の長さのproANP、およびproBNPやproCNPとの交差性は、以下の通りです。
    proANP (1-30) <1%、proANP (31-67) <1%、proANP (79-98) <1%、alpha ANP (99-126) <1%
    proBNP (8-29) <1%、proBNP (32-57) <1%
    proCNP (1-19) <1%、proCNP (30-50) <1%、proCNP (51-97) <1%
  • アッセイ時間:3.5時間
  • 様々な動物種のNT-proANPと高い交差性があります。
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用説明書:こちらをクリック
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」/ラット・マウスサンプルの使用文献

NT-proBNP (ヒト)

  • 商品コード:SK-1204
  • サンプル種:ヒト血清、血漿(EDTA)、唾液(プロトコルはお問い合わせください)
  • サンプル量:50 µL / well
  • 感度:3.0 pmol/l (= 25.4 pg/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 640 pmol/l (= 0 – 5,424 pg/ml)
  • 交差性:ヒトのみに交差
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

NT-proBNP(ラット)

  • 商品コード:BI-1204R
  • サンプル種:ラット血清、血漿
  • サンプル量:10 µL / well
  • 感度:検出限界: 21 pg/ml;定量下限: 50 pg/ml
  • 標準曲線範囲:0 – 3,200 pg/ml
  • 特異性:内在性(天然)およびリコンビナントラットNT-proBNP (1-76)
  • アッセイ時間:3.5時間
  • ラットサンプルでの参考値情報が提供されています。
  • 使用説明書:こちらをクリック
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献:こちらをクリック

製品に関する日本でのお問い合わせ先

Biomedica社製品は,フナコシ株式会社を通してご購入頂けます。

製品についての技術的なご質問は,
フナコシ株式会社 テクニカルサポート部
電話:03-5684-1620
FAX:03-5684-1775
E-mail:reagent@funakoshi.co.jp

までお問い合わせください。

参考文献

  1. Atrial and brain natriuretic peptides: Hormones secreted from the heart.
    Nakagawa Yet al., Peptides. 2019. 111:18-25.
  2. Cardiac natriuretic peptides. 
    Goetze JP et al., Nat Rev Cardiol. 2020. 17(11):698-717.
  3. Serum Natriuretic Peptides as Differential Biomarkers Allowing for the Distinction between Physiologic and Pathologic Left Ventricular Hypertrophy .
    Dunn ME et al, for The Cardiac Hypertrophy Working Group of the Predictive Safety Testing Consortium . 2017. Toxicol Pathol 45(2): 334-352.
  4. Natriuretic Peptides as Cardiovascular Safety Biomarkers in Rats: Comparison With Blood Pressure, Heart Rate, and Heart Weight .
    Engle SK and Watson  DE  2016. Toxicol Sci 149: 458 – 472.
  5. Leucine Supplementation Improves Diastolic Function in HFpEF by HDAC4 Inhibition. 
    Alves PKNet al., Cells. 2023. 2;12(21):2561.
  6. Cross-laboratory analytical validation of the cardiac biomarker NT-proANP in rat.
    Vinken P et al., J Pharmacol Toxicol Methods. 2016. 77:58-65. 
  7. An initial characterization of N-terminal-proatrial natriuretic peptide in serum of Sprague Dawley rats.  
    Colton HM et al.,  Toxicol Sci 2011. 120, 262–268.

会社情報

会社名Biomedica Medizinprodukte GmbH
部署名
住所Divischgasse 4, 1210 Vienna, Austria
TEL+43 12910745
FAX
Websitehttps://www.bmgrp.com/
E-mailinfo@bmgrp.com