新しいバイオマーカー、腎臓病、endostatin、Vanin-1、Periostin、FGF23、IL-6


3月14日は「世界腎臓デー」:腎臓病と腎臓の健康の重要性についての意識を高めるための、世界的なキャンペーンです!
今回の記事では、腎臓病の新しいバイオマーカーに焦点を当て、特集します。

オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)は、各種バイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,700本以上の文献で使用されています。

優れた品質を誇る、Biomedica社の測定キットをぜひご利用ください。

腎臓の役割

腎臓は血液から老廃物をろ過し、尿として体外に排出する重要な役割があります。様々な疾患による腎臓のダメージとは別に、薬も腎臓のダメージに関与することがあります。腎臓病のタイムリーな検出は、治療的介入の成功に不可欠です。血液や尿で検出できるバイオマーカーは特に、疾患の検出、薬剤の発見と患者のモニタリングに役立つ貴重なツールとなります。

慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(CKD)は、世界の人口の10%以上に影響を及ぼしている、進行性の疾患です(1)。これまでの臨床バイオマーカーは、腎機能障害の後期段階において有効性を示すものであり、成功する可能性がある治療的介入を速やかに開始することができません。そのため、CKDを早期に特定し、患者の転帰の見込みを改善できる、より特異的で高感度なバイオマーカーが強く求められています。
過去10年以上のゲノミクス、プロテオミクス、およびメタボロミクスの進歩で、腎臓病で苦しむ患者の重要な診断および予後情報を提供する可能性のある、潜在的なバイオマーカー候補の発見につながりました(2)。

現在認識されている血清クレアチニン、アルブミン尿およびタンパク尿などのバイオマーカーの中で、腎臓病の新たなバイオマーカーは、補足的に予後の洞察を提供する可能性があります。これら新規マーカーは、急性腎障害、移植拒絶反応または糸球体腎症などの様々な臨床環境で治療反応を予測するのに役立つ可能性があります(2)。

腎臓病の新規バイオマーカー

これまでの研究によりEndostatinとVanin-1が、薬物性急性腎障害における微小血管組織損傷と腎再尿管損傷の検出に有望なバイオマーカーとして特定されています。血清、または血漿サンプル中のこれらのバイオマーカーの測定は、FGF23やPeriostinなどの他のバイオマーカーと合わせて、従来のELISAアッセイを使用して便利に行うことができます。

Biomedica社の腎臓バイオマーカー検出キット

Biomedica Medizinprodukte GmbH(以下、Biomedica)は、オーストリアを本拠とする会社で、骨、ミネラル代謝、心血管及び腎疾患の分野における臨床研究のELISAキットを製造開発しています。

フナコシ株式会社は日本におけるBiomedica社製品のディストリビューターです(メーカー略称:BMC)。Biomedica社の全キットは、日本では「研究用」として販売されています。Biomedica社のELISAキットはready-to-useのキャリブレーターとコントロールを含み、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。Biomedica社ELISAアッセイは世界中で使用され、1,500報以上の文献で引用されています(www.bmgrp.com)。

この投稿では、腎臓病の新規バイオマーカーであるEndostatin、Vanin-1、Fibroblast Growth Factor 23(FGF23)、PeriostinのELISAキットをご紹介します。

Endostatin

◆ 腎線維症、慢性腎臓病(CKD)の潜在的なバイオマーカー、急性腎障害(AKI)の予後マーカー

Endostatinは18型コラーゲンのC末端タンパク質分解フラグメントです。これは腎線維症の患者で進行中に発現する細胞外マトリクスタンパク質です。血清Endostatinレベルの顕著な上昇は、慢性腎臓病患者中の細胞外マトリクス分解の亢進による可能性があります(3、4)。Endostatinは急性腎障害(AKI)患者の予後マーカーとしても研究されており(5)、CKD患者における付随的な心血管イベントの発生と独立して関連しています(6)。

Biomedica社のEndostatin ELISAキットで血清、血漿、尿サンプル中のEndostatinを信頼性高く定量できます。

ヒトEndostatin ELISAキット

  • 商品コード:BI-20742
  • サンプル種:血清、血漿(EDTA、クエン酸、ヘパリン)、尿、細胞培養上清
  • サンプル量:10 – 20 µl / well
  • 感度:4 pmol/l (= 80 pg/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 800 pmol/l (= 0 – 16,000 pg/ml)
  • 交差性:ヒトEndostatinのみ。 COL15A1には交差しない。
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

マウス/ラットEndostatin ELISAキット

  • 商品コード:BI-20742MR
  • サンプル種:血清、血漿
  • サンプル量:5 µl / well
  • 感度:0.24 nmol/l (= 4.9 ng/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 32 nmol/l (= 0 – 653 ng/ml)
  • 交差性:マウス、ラットEndostatinのみ。
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

Vanin-1

◆急性腎障害および薬物性腎障害の潜在的バイオマーカー

Vascular non-inflammatory molecule-1(Vanin-1)は腎臓で高発現しており(8)、急性腎障害および薬物性腎障害のマーカーとして提案されています(9)。Vanin-1はI型糖尿病性腎症のラットモデルで見られるように、腎障害のマーカーとして同定されています(10)。

尿中Vanin-1は腎線維症の子供(11)および尿路感染症の幼児の急性腎盂腎炎の予測因子として研究がされているほか(12)、尿中Vanin-1の役割が腎移植レシピエントで最近研究されています(13)。

Vanin-1はBiomedica社Vanin-1 ELISAキットで尿サンプルから簡単に測定できます。

ヒトVanin-1 ELISAキット

  • 商品コード:BI-VAN1U
  • サンプル種:尿
  • サンプル量:10 µl / well
  • 感度:9.6 pmol/l (= 500 pg/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 1200 pmol/l (= 0 – 62,500 pg/ml)
  • 交差性:マウスVanin-1には交差しない。様々なサルのVanin-1には交差する可能性があります。
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

マウス/ラットVanin-1 ELISAキット

  • 商品コード:BI-VAN1MR
  • サンプル種:血清、血漿、尿
  • サンプル量:5 µl / well
  • 感度:2.31 pmol/l
  • 標準曲線範囲:0 – 200 pmol/l (= 0 – 10.6 ng/ml)
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」

Periostin

◆尿細管損傷の潜在的な初期バイオマーカー

Periostinは組織リモデリングと創傷治癒に関与する、マトリクス細胞のタンパク質です。腎臓におけるPeriostinの発現は間質性線維症の程度および腎機能低下と相関していることが示されています(15)。尿Periostin量の上昇は、微量アルブミン尿の発症以前に存在していたII型糖尿病患者で見られていました。尿中Periostinが尿細管損傷の初期バイオマーカーとなりうることを研究者が提唱しています(16)。

Periostinは完全にバリデーションしたELISAアッセイで血清、血漿および尿サンプルから信頼性高く測定できます。

ヒトPeriostin ELISAキット

  • 商品コード:BI-20433
  • サンプル種:血清、血漿(EDTA、クエン酸、ヘパリン)、尿、細胞培養上清
  • サンプル量:10 µl / well
  • 感度:20 pmol/l (= 1,800 pg/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 4,000 pmol/l (= 0 – 360,000 pg/ml)
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

マウス/ラットPeriostin ELISAキット

  • 商品コード:BI-20433MS
  • サンプル種:血清、血漿
  • サンプル量:≤ 5 µl / well
  • 感度:0.003 nmol/l (= 0.27 ng/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 16 nmol/l (= 0 – 1,400 ng/ml)
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

FGF23

◆腎臓―心血管疾患患者の心血管イベントの潜在的な初期バイオマーカー

Fibroblast growth factor 23 (FGF23)は、腎臓における腎リン酸再吸収の調節により、リン酸ホメオスタシスを調節する内分泌ホルモンです。循環FGF23は腎機能低下と共に増加し、FGF23とリン酸レベルの高値は、心血管疾患および死亡率と関連しています(18、19)。

FGF23 (C-terminal) ELISAキット

  • 商品コード:BI-20702
  • サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿
  • サンプル量:50 µl / well
  • 感度:0.08 pmol/l (= 0.6 pg/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 20 pmol/l (= 150.4 pg/ml)
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

Intact FGF23 ELISAキット

  • 商品コード:BI-20700
  • サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿、尿、細胞培養上清
  • サンプル量:50 µl / well
  • 感度:0.21 pmol/l (=5.4 pg/ml )
  • 測定範囲:5.4 – 1,600 pg/ml (= 0.2 – 60.8 pmol/l)
  • 交差性:FGF3、FGF19、FGF21には交差しない。
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

IL-6

◆炎症バイオマーカー

インターロイキン6(IL-6)は炎症と免疫反応の調節で重要な役割を果たします。これはシグナル伝達分子で、免疫細胞の活性化や感染・損傷に対する応答の調節など、様々な生理学的プロセスに関与しています。IL-6は炎症が顕著な特徴の疾患に関係しています(20)。

ヒトIL-6 ELISAキット

  • 商品コード:BI-IL6
  • サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿、尿、細胞培養上清
  • サンプル量:100 µl / well
  • 感度:検出限界:0.28 pg/ml(定量下限:0.78 pg/ml ※血清・血漿サンプル)
  • 標準曲線範囲:0 – 200 pg/ml
  • バリデーションデータ:こちらをご覧ください。
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

製品に関する日本でのお問い合わせ先

Biomedica社製品は,フナコシ株式会社を通してご購入頂けます。

製品についての技術的なご質問は,
フナコシ株式会社 テクニカルサポート部
電話:03-5684-1620
FAX:03-5684-1775
E-mail:reagent@funakoshi.co.jp

までお問い合わせください。

参考文献

  1. Epidemiology of chronic kidney disease: an update 2022.
    Kovesdy CP. Kidney Int Suppl (2011). 2022. 12(1):7-11.
  2. Emerging Biomarkers for Early Detection of Chronic Kidney Disease.
    Mizdrak Met al. J Pers Med. 2022. 12(4):548.
  3. A defective angiogenesis in chronic kidney disease.
    Futrakul N et al. Ren Fail. 2008. 30(2):215-7.
  4. Endostatin in Renal and Cardiovascular Diseases.
    Li M et al. Kidney Dis (Basel). 2021.9;7(6):468-481.
  5. Prognostic value of dynamic plasma endostatin for the prediction of mortality in acute kidney injury: A prospective cohort study. 
    Jia HM et al. J Int Med Res. 2020.  48(7):300060520940856.
  6. Endostatin in chronic kidney disease: Associations with inflammation, vascular abnormalities, cardiovascular events and survival.
    Kanbay M et al. Eur J Intern Med. 2016. 33:81-7.
  7. Validation of an enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) for quantification of endostatin levels in mice as a biomarker of developing glomerulonephritis.
    Wallwitz J et al.. PLoS One. 2019. 14(8):e0220935.
  8. Chemical biology tools to study pantetheinases of the vanin family.
    Schalkwijk J et al.. Biochem Soc Trans. 2014. 42, 1052–1055.
  9. Urinary Vanin-1 As a Novel Biomarker for Early Detection of Drug-Induced Acute Kidney Injury
    Hosohata K et al. J  Pharm  Exp Ther. 2012. 341, 656–662.
  10. Proteomic identification of vanin-1 as a marker of kidney damage in a rat model of type 1 diabetic nephropathy
    Fugmann T et al.,Kidney Int. 2011. 80, 272–281.
  11. The Usefulness of Vanin-1 and Periostin as Markers of an Active Autoimmune Process or Renal Fibrosis in Children with IgA Nephropathy and IgA Vasculitis with Nephritis-A Pilot Study. 
    Mizerska-Wasiak M et al. J Clin Med. 2022. 11(5):1265. 
  12. Urinary vanin-1 for predicting acute pyelonephritis in young children with urinary tract infection: a pilot study. 
    Krzemień G et al. Biomarkers. 2021. 26(4):318-324.
  13. Urinary vanin-1, tubular injury, and graft failure in kidney transplant recipients.
    Alkaff FF et al. Sci Rep. 2024. 4(1):2283.
  14. Development of an immunoassay that reveals altered uninary Vanin-1 in human with kidney disease. 2018. Nephrology Dialysis Transplantation, Volume 33, Issue suppl_1, Page i126. 
  15. Periostin in the Kidney.
    Wallace DP et al., Adv Exp Med Biol. 2019, 1132:99-112.
  16. Periostin as a tissue and urinary biomarker of renal injury in type 2 diabetes mellitus.
    Satirapoj B et al., PLoS One. 2015, 17;10(4):e0124055.
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    Gadermaier E et al., J Clin Lab Anal. 2018, 32(2):e22252.
  18. Higher fibroblast growth factor-23 increases the risk of all-cause and cardiovascular mortality in the community.
    Ärnlöv J et al.  Kidney Int. 2013. 83(1):160-6.
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    Udell JA et al. J Am Coll Cardiol. 2014. 10;63(22):2421-8.
  20. Interleukin 6 and Cardiovascular Outcomes in Patients With Chronic Kidney Disease and Chronic Coronary Syndrome.
    Batra G et al. JAMA Cardiol. 2021. 6(12):1440-1445.

会社情報

会社名Biomedica Medizinprodukte GmbH
部署名
住所Divischgasse 4, 1210 Vienna, Austria
TEL+43 12910745
FAX
Websitehttps://www.bmgrp.com/
E-mailinfo@bmgrp.com