ELISAキット、選び方


ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)は、生体サンプル中に存在するタンパク質の検出と定量に使用されている手法です(1-3)。しかしELISAキットを選ぶ際、研究者はしばしば「多くの市販キットからどのアッセイを選ぶのか」という疑問に直面します。

オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)は、各種バイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,500本以上の文献で使用されています。

今回は、Biomedica社による「正しいELISAキットを選ぶための役立つチェック項目」を特集します。

最適なELISAキットを見つけるために

まず、ELISAキットを購入する前にプロトコル冊子(使用説明書(IFU)、またはパッケージインサートと呼ばれるもの)を注意深く読むことをお奨めします。選択されたELISAキットが実験に最適であるか、特に以下の点を確認してください。

測定対象の因子

測定したいタンパク質バイオマーカーは明確でしょうか?そしてELISAキットを選ぶ際は正しい(正確な)因子名を使って検索してください。
例えば、一部のバイオマーカーは別名があります。Sclerostinを例にすると、別名の「SOST」という用語は、実際にはSclerostinタンパク質をコードする遺伝子の名称です。

特異性と種間の交差性

ELISAキットがヒト、ラット、マウスなどそれぞれの動物種のサンプルに使用できるか確認してください。
種間の配列相同性が高い場合、一部のELISAキットはヒトやその他の動物種の両方でワークすることがあります。
例えばBiomedica社のNT-proANP用ELISAキットはヒト用に開発されましたが、種間の配列相同性が高いことから、このキットは様々な動物種(ラット、マウス、ウサギ、サル)で心臓安全性のバイオマーカーとして検証され、論文で公開されています。

対応サンプル(試料)の種類

どの種類のサンプルで測定するのか、使用するサンプル(血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿、細胞培養上清、尿など)は何でしょうか?
ELISAキットがどのサンプルの種類に対応しているかどうかを確認しましょう。パッケージインサートを読み、結果を示すバリデーションデータがあるか調べてください(メーカーのウェブサイトで確認できることもあります)。
注:適していないサンプルにおけるバイオマーカーの検出は、マトリックス効果により「誤った」結果につながる可能性があります。

必要なサンプル量

測定に必要な1ウェル辺りのサンプル量を確認してください(サンプルを二重測定する場合は、それぞれの量を計算します)。特に1種類以上のバイオマーカーを測定する際、アッセイに必要なサンプル量はELISAキットの選択基準の一つとなります。

感度―バイオマーカー濃度の期待値

ELISAキットのバリデーションデータ(ELISAのパッケージインサートまたはバリデーションデータを示すファイルに掲載されています)を確認してください。
場合によっては、目的のバイオマーカーの血清および/または血漿中の参考値および病的値に関するデータも記載されています。これらのデータは、「測定の期待値」を示しており、適切なELISAキットの選択に役立ちます。場合によってはサンプルを事前に希釈する必要があります。そのため、希釈バッファー(アッセイバッファー)がキットに含まれているか、あるいは別途注文する必要があるかどうか確認してください。
注:高感度のELISAアッセイは低感度のアッセイとは異なるダイナミックレンジを持っています。アッセイのダイナミックレンジは、そのアッセイが測定対象の因子を正確に定量できる濃度の範囲を示しています。

アッセイのバリデーション―アッセイパフォーマンス

ELISAキット選択の際はキットのパフォーマンス性能を確認し、バリデーション済みのキットを選択してください。特に、以下のパフォーマンス性能を示すデータを確認してください。

  • 正確性-臨床サンプル中の測定対象因子の検出
  • 希釈直線性と平行性-希釈サンプル中の測定対象因子のリカバリー(回収率)
  • 特異性と交差性-目的の測定対象因子のみが検出されているかどうか
  • 精度-アッセイ内およびアッセイ間の精度を示しており、アッセイロットとアッセイを通して、正確で再現性のある結果が保証されていること
  • キャリブレーション-アッセイの検量線の範囲に渡って、一貫した性能が保証されていること
  • サンプルの安定性-サンプル中の測定対象因子の安定性(複数回の凍結融解サイクルにおける、測定対象因子の安定性試験など)

キットの構成品(コンポーネント)

ELISAキットの構成品に、コントロール、アッセイ希釈バッファーなど、全ての必要な構成品(コンポーネント)が含まれているかどうかを確認してください。またキットの温度への感受性や有効期限などの保管条件を確認してください。

参考文献と引用文献

メーカーのウェブサイトに、キットの使用文献がリストされているか確認してください。

大元の製造メーカーかどうか

そのサプライヤーが実際にELISAキットを製造しているかどうかを確認したいこともあるでしょう。現在では多くのキットが再パック/ブランド変更され、異なるブランド名で販売されています。ELISAキットの開発者とメーカーは自社の製品を「知っている」ため、お客様が必要としている的確なサポートを提供できる可能性が高いです(例.追加のキャリブレーター、コントロール、バッファーの入手可否、キットの技術ノウハウ、トラブルシューティングなど)。

カスタマーサポート

キットのサプライヤーやメーカーが、タイムリーで有用なカスタマーサービスを提供できるか確認してください。

Biomedica社のELISAキットをお奨めします!

Biomedica社は、ターゲット特異的で、高い信頼性と再現性のある高品質なELISAキットを幅広く提供しています。
日本では、Biomedica社のELISAキットを代理店のフナコシ株式会社よりご購入頂けます。(メーカー略称:BMC)

※日本では全て「研究用」試薬として販売されています。

製品に関する日本でのお問い合わせ先

Biomedica社製品は,フナコシ株式会社を通してご購入頂けます。

製品についての技術的なご質問は,
フナコシ株式会社 テクニカルサポート部
電話:03-5684-1620
FAX:03-5684-1775
E-mail:reagent@funakoshi.co.jp

までお問い合わせください。

関連文献

  1. Enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA): the basics.
    Shah K et al., Br J Hosp Med (Lond). 2016; 77(7):C98-101.
  2. Enzyme-Linked Immunosorbent Assay: Types and Applications.
    Hayrapetyan H et al., Methods Mol Biol. 2023; 2612:1-17.
  3. Enzyme-linked immunosorbent assay for the quantitative/qualitative analysis of plant secondary metabolites.
    Sakamoto S et al., J Nat Med. 2018; 72(1):32-42.

会社情報

会社名Biomedica Medizinprodukte GmbH
部署名
住所Divischgasse 4, 1210 Vienna, Austria
TEL+43 12910745
FAX
Websitehttps://www.bmgrp.com/
E-mailinfo@bmgrp.com