酸化ストレス、心疾患、oxidative stress, heart disease


不健康な食事・運動不足・喫煙は、心疾患に関連する最も重要な行動リスクファクターの一部です。リスクを高める健康状態には、肥満、高血糖、高血圧、高い低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールや酸化ストレスがあります。
今回の記事では、酸化ストレスと、それがもたらす心疾患に焦点を当て、特集します。

オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)は、各種バイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,500本以上の文献で使用されています。

優れた品質を誇る、Biomedica社の測定キットをぜひご利用ください。

血管障害と心不全

血管障害および心不全による年間の推定死亡者数は1,790万人と言われており、世界でも大きな負担となっています(1)。
日本では高齢化により、心疾患での粗死亡率が年々増加しています(2)。

酸化ストレスとは?

酸化ストレスは、フリーラジカル(活性酸素種-ROS)の生成と抗酸化防御(内在性の抗酸化力)間の不均衡により引き起こされます。ROSは汚染物質、重金属、タバコ、薬剤やその他の様々な物質によって刺激され、細胞内の代謝副産物として生成されます。
酸化ストレスはいくつかの疾患(例:がん、糖尿病、代謝障害、アテローム性動脈硬化、心血管疾患)の発症と進行に関与していることが議論されています(3)。

抗酸化LDL自己抗体(oLAB)

血管内での酸化低密度リポタンパク質(oxLDL)蓄積は、心血管疾患(CVD)発症の重要な要因であるアテローム性動脈硬化の発症を引き起こします。アテローム性動脈硬化という名称はギリシャ語を起源としており、動脈内層の肥厚と脂肪の蓄積を意味しています(4)。アテローム性動脈硬化のプロセスは、動脈内皮下間へのLDL蓄積から始まります(5)。そのためアテローム性動脈硬化は、脂質酸化による血管内膜疾患と考えられます。疾患進行後期段階では、プラークが蓄積し、それが破裂することで血栓症(血流の閉塞)を引き起こします。またoxLDLはマクロファージと樹状細胞に炎症反応を誘導します(6)。

酸化修飾LDLに対する自己抗体(抗oxLDL抗体、またはoLAB)は、アテローム性動脈硬化の患者だけでなく、健常人でも検出されます(7)。oLABは生体内で生じている酸化プロセスの発生を反映していることが提唱されており、血液サンプルからELISAで検出できます(7-9)。多くの研究で、oxLDLに対する自己抗体が心血管疾患リスク層別化を改善できる可能性があることを示唆しています(7)。

Biomedica社の酸化ストレス関連バイオマーカー検出キット

Biomedica社は、酸化ストレスレベルを評価するための高品質なアッセイキットを幅広く提供しています。

日本ではBiomedica社のアッセイキットを代理店のフナコシ株式会社よりご購入頂けます。(メーカー略称:BMC)

※日本では全て「研究用」試薬として販売されています。

Anti-Oxidized LDL Autoantibodies(oLAB)

【キットの特徴】

  • 方法:サンドイッチELISA、HRP/TMB、12×8ウェルの取り外し可能なストリップ
  • サンプルの種類:血清
  • サンプル量:50 µL/ウェル
  • 研究用
  • 70件以上の文献で広く引用

【キットの詳細】

  • 商品コード:BI-20032
  • サンプル種:血清
  • サンプル量:50 µL / well
  • 感度:48 mU/ml
  • 標準曲線範囲:0 – 1,200 mU/ml
  • 交差性:ヒト
  • アッセイ時間:1.5時間 / 30 分 / 15 分
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

生物学的過酸化物(OxyStat)

OxyStatアッセイでは、フリーラジカルと循環する生物学的ペルオキシドとの間に直接的な相関関係を示す結果となることから、生体試料における酸化状態のキャラクタライゼーションを可能にします。

【キットの特徴】

  • 方法:比色アッセイ、96ウェル
  • サンプルの種類:血清、血漿、体液
  • サンプル量:10 µL/ウェル
  • 研究用 ・50件以上の文献で広く引用

【キットの詳細】

  • 商品コード:BI-5007
  • サンプル種:血清、EDTA血漿、体液(細胞培養上清についてはマトリクス効果がないことを確認の上、ご使用ください。詳細はBiomedica社ウェブサイトのSample Collection & Storageをご参照下さい。)
  • サンプル量:10 µL / well
  • 感度:7 µmol/l
  • 標準曲線範囲:0 – 600 µmol/l
  • アッセイ時間:15分
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

NT-proBNP – 心臓病のバイオマーカー

NT-proBNPは心臓病において重症度と共に血中濃度が上昇することから、心不全の診断に有用なバイオマーカーと考えられています。NT-proBNPレベルのモニタリングは、将来的な心血管イベントを発症する人のリスクに関する情報の提供に有用となります(10)。

ヒトNT-proBNP

【キットの特徴】

  • 方法:サンドイッチELISA、HRP/TMB、12×8ウェルの取り外し可能なストリップ
  • サンプルの種類:ヒト血清、血漿(および独立検証された唾液
  • サンプル量:50 µL/ウェル
  • 二本のコントロール入り
  • 120件以上の文献で広く引用
  • 熟練度試験証明書はこちら ・フレキシブルで簡単–  全てのラボで使用可能

【キットの詳細】

  • 商品コード:SK-1204
  • サンプル種:血清、血漿(EDTA)
  • サンプル量:50 µL / well
  • 感度:3.0 pmol/l (= 25.4 pg/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 640 pmol/l (= 0 – 5,424 pg/ml)
  • 交差性:ヒトのみに交差
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

ラットNT-proBNP

【キットの特徴】

  • 方法:サンドイッチELISA、HRP/TMB、12×8ウェルの取り外し可能なストリップ
  • サンプルの種類:ラット血清、血漿
  • サンプル量:10 µL/ウェル
  • キットコントロール入り ・サンプル値を提供

【キットの詳細】

  • 商品コード:BI-1204R
  • サンプル種:血清、血漿
  • サンプル量:10 µL / well
  • 感度:検出限界: 21 pg/ml;定量下限: 50 pg/ml
  • 標準曲線範囲:0 – 3,200 pg/ml
  • ラットサンプルでの参考値情報が提供されています。
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社

NT-proANP

【キットの特徴】

・方法:サンドイッチELISA、HRP/TMB、12×8ウェルの取り外し可能なストリップ

・サンプルの種類:血清、血漿

・サンプル量:10 µL/ウェル

・コントロール入り

160件以上の文献で広く引用 ・ラットでの心血管安全性バイオマーカーとしても引用

【キットの詳細】

  • 商品コード:BI-20892
  • サンプル種:血清、血漿(EDTA、クエン酸、ヘパリン)、尿、細胞培養上清(ヒト・ラット・マウスサンプル)
  • サンプル量:10 µL / well
  • 感度:0.05 nmol/l (= 0.64 ng/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 10 nmol/l (= 0 – 127 ng/ml)
  • 特異性:内在性およびリコンビナントヒトNT-proANP(proANP 1-98と同等)
  • 交差性:他の長さのproANP、およびproBNPやproCNPとの交差性は、以下の通りです。
    proANP (1-30) <1%、proANP (31-67) <1%、proANP (79-98) <1%、alpha ANP (99-126) <1%
    proBNP (8-29) <1%、proBNP (32-57) <1%
    proCNP (1-19) <1%、proCNP (30-50) <1%、proCNP (51-97) <1%
  • 動物種間での高い交差性があります。
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

製品に関する日本でのお問い合わせ先

Biomedica社製品は,フナコシ株式会社を通してご購入頂けます。

製品についての技術的なご質問は,
フナコシ株式会社 テクニカルサポート部
電話:03-5684-1620
FAX:03-5684-1775
E-mail:reagent@funakoshi.co.jp

までお問い合わせください。

参考文献

  1. WHO-international health topics-cardiovascular diseases.
  2. Epidemiology of cardiovascular disease in Japan: An overview study.
    Ohira T, Eguchi E, Hayashi F, Kinuta M, Imano H. J Cardiol. 2024 Mar;83(3):191-200. doi: 10.1016/j.jjcc.2023.08.006. Epub 2023 Aug 15. PMID: 37591340.
  3. Reactive oxygen species in the vasculature: molecular and cellular mechanisms.
    Taniyama Y, Griendling KK. Hypertension. 2003 Dec;42(6):1075-81. doi: 10.1161/01.HYP.0000100443.09293.4F. Epub 2003 Oct 27. PMID: 14581295.
  4. Atherosclerosis: process, indicators, risk factors and new hopes.
    Rafieian-Kopaei M, Setorki M, Doudi M, Baradaran A, Nasri H. Int J Prev Med. 2014 Aug;5(8):927-46. PMID: 25489440; PMCID: PMC4258672.
  5. Oxidized LDL and anti-oxidized LDL antibodies in atherosclerosis – Novel insights and future directions in diagnosis and therapy.
    Hartley A, Haskard D, Khamis R. Trends Cardiovasc Med. 2019 Jan;29(1):22-26. doi: 10.1016/j.tcm.2018.05.010. Epub 2018 Jun 4. PMID: 29934015.
  6. How Oxidized Low-Density Lipoprotein Activates Inflammatory Responses.
    Rhoads JP, Major AS. Crit Rev Immunol. 2018;38(4):333-342. doi: 10.1615/CritRevImmunol.2018026483. PMID: 30806246; PMCID: PMC6527110.
  7. Anti-Oxidized LDL Antibodies and Coronary Artery Disease: A Systematic Review.
    van den Berg VJ, Vroegindewey MM, Kardys I, Boersma E, Haskard D, Hartley A, Khamis R. Antioxidants (Basel). 2019 Oct 15;8(10):484. doi: 10.3390/antiox8100484. PMID: 31618991; PMCID: PMC6826549
  8. Circulating oxidized low density lipoprotein, autoantibodies against them and homocysteine serum levels in diagnosis and estimation of severity of coronary artery disease.
    Faviou E, Vourli G, Nounopoulos C, Zachari A, Dionyssiou-Asteriou A. Free Radic Res. 2005 Apr;39(4):419-29. doi: 10.1080/10715760500072156. PMID: 16028367.
  9. Antibodies to oxidized low-density lipoprotein in patients following coronary artery revascularization.
    Miller ER 3rd, Erlinger TP, Blumenthal RS, Margolis S, Allen JK. Coron Artery Dis. 2003 Apr;14(2):163-9. doi: 10.1097/00019501-200304000-00009. PMID: 12655280.
  10. Natriuretic peptides: their structures, receptors, physiologic functions and therapeutic applications.
    Potter LR, Yoder AR, Flora DR, Antos LK, Dickey DM.Handb Exp Pharmacol. 2009;(191):341-66. doi: 10.1007/978-3-540-68964-5_15. PMID: 19089336; PMCID: PMC4855512.

会社情報

会社名Biomedica Medizinprodukte GmbH
部署名
住所Divischgasse 4, 1210 Vienna, Austria
TEL+43 12910745
FAX
Websitehttps://www.bmgrp.com/
E-mailinfo@bmgrp.com