糖尿病と心臓病-NT-proBNPによるリスク層別化|Biomedica Medizinprodukte GmbH


糖尿病(Diabetes Mellitus;DM)は日本の公衆衛生上の重要な課題であり、論文報告によると日本人口の約12%が罹っているとされています。糖尿病患者数は、主に高齢化と肥満の増加により、着実に増加しています(1)。
この記事では、糖尿病と心臓病の関係について、NT-proBNPをバイオマーカーとした報告と、リスク層別化について特集します。

オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)は、各種バイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,700本以上の文献で使用されています。

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糖尿病と心血管疾患

糖尿病と心血管疾患(Cardiovascular Diseases;CVD)は、密接に関連しています。
糖尿病患者では、CVDとそれに付随する心不全(Heart Failure;HF)の発症リスクが2~4倍上昇します。
さらに、糖尿病のHF患者の予後は、一般的に糖尿病を発症していない患者よりも不良です(2, 3)。II型糖尿病の患者では、血糖値の上昇・インスリン抵抗性により、炎症および動脈が狭くなる状態のアテローム性動脈硬化を引き起こし、CVDのリスクを上昇させる可能性があります。過度な血糖値の上昇は、高血圧および肥満を含め、他のCVDリスクファクターと関連しているとの報告があります(4)。

糖尿病患者における心不全発症リスクの上昇

糖尿病患者における心不全発症リスクの上昇は重要な問題であることから、バイオマーカーの利用は有益となる可能性があります(5)。

特にNT-proBNPは、心臓細胞から特異的に分泌される、心不全の「ゴールドスタンダード」バイオマーカーとなっています(6,7)。II型糖尿病患者では、NT-proBNPが死亡および心血管イベントを予測する指標となることが報告されています(8,9)。

さらにNT-proBNPと糖尿病および糖尿病関連合併症の発症リスクとの関連を調べた最近の研究があります(10)。
この研究では27,000人以上の血液サンプル中のNT-proBNPレベルを測定しました(European Prospective Investigation Into Cancer and Nutrition)。その結果によると、血中NT-proBNP濃度は健常人のII型糖尿病リスクと逆相関を示しており、NT-proBNP濃度の上昇は疾患を発症した人の血管疾患のリスク上昇と相関していました。著者らは、NT-proBNPが、潜在的な交絡因子とは独立して、糖尿病発症可能性の高い無症状の人を特定するためのバイオマーカーとして有望であると結論付けました。

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日本では、Biomedica社のELISAキットを代理店のフナコシ株式会社よりご購入頂けます。(メーカー略称:BMC)

キットの特長

  • 高い信頼性
  • フレキシブルで簡単
  • 便利:2本のコントロール入り
  • 唾液サンプルで独立検証済み 詳細
  • 認定ラボラトリプログラムで熟練度試験済み 証明書

※日本では全て「研究用」試薬として販売されています。

NT-proBNP (ヒト)

  • 商品コード:SK-1204
  • サンプル種:血清、血漿(EDTA)
  • サンプル量:50 µL / well
  • 感度:3.0 pmol/l (= 25.4 pg/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 640 pmol/l (= 0 – 5,424 pg/ml)
  • 交差性:ヒトのみに交差
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

関連製品

NT-proBNP(ラット)

  • 商品コード:BI-1204R
  • サンプル種:血清、血漿
  • サンプル量:10 µL / well
  • 感度:検出限界: 21 pg/ml;定量下限: 50 pg/ml
  • 標準曲線範囲:0 – 3,200 pg/ml
  • ラットサンプルでの参考値情報が提供されています。
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社

NT-proANP

  • 商品コード:BI-20892
  • サンプル種:血清、血漿(EDTA、クエン酸、ヘパリン)、尿、細胞培養上清(ヒト・ラット・マウスサンプル)
  • サンプル量:10 µL / well
  • 感度:0.05 nmol/l (= 0.64 ng/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 10 nmol/l (= 0 – 127 ng/ml)
  • 特異性:内在性およびリコンビナントヒトNT-proANP(proANP 1-98と同等)
  • 交差性:他の長さのproANP、およびproBNPやproCNPとの交差性は、以下の通りです。
    proANP (1-30) <1%、proANP (31-67) <1%、proANP (79-98) <1%、alpha ANP (99-126) <1%
    proBNP (8-29) <1%、proBNP (32-57) <1%
    proCNP (1-19) <1%、proCNP (30-50) <1%、proCNP (51-97) <1%
  • 動物種間での高い交差性があります。
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

参考文献

  1. PM2.5 and Diabetes in the Japanese Population.
    Int J Environ Res Public Health. Lee M et al., 2021; 8(12):6653.
  2. Epidemiology, Pathophysiology, Diagnosis and Treatment of Heart Failure in Diabetes.
    Park JJ. Diabetes Metab J. 2021; 45(2):146-157.
  3. Diabetes as a risk factor for heart failure in women and men: a systematic review and meta-analysis of 47 cohorts including 12 million individuals.
    Ohkuma T et al., Diabetologia. 2019; 62(9):1550-1560.
  4. Diabetes leading to heart failure and heart failure leading to diabetes: epidemiological and clinical evidence.
    Palazzuoli A et al., Heart Fail Rev. 2023; 28(3):585-596.
  5. Assessing Cardiovascular Risk in Patients with Diabetes: An Update. 
    Damaskos C et al., Curr Cardiol Rev. 2020;16(4):266-274.
  6. NT-proBNP: The Gold Standard Biomarker in Heart Failure.
    McKie PM et al., J Am Coll Cardiol. 2016; 6;68(22):2437-2439.
  7. 2022 AHA/ACC/HFSA Guideline for the Management of Heart Failure: Executive Summary: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Joint Committee on Clinical Practice Guidelines. 
    Heidenreich PA et al., Circulation. 2022; 145(18):e876-e894.
  8. NT-proBNP as a predictor of death and cardiovascular events in patients with type 2 diabetes.
    Malachias MVB et al., Diabetol Metab Syndr. 2022;  14(1):64.
  9. The role of NT-proBNP in the evaluation of diabetic patients with heart failure. 
    Fringu FI et al., 2020; 16(2):183-191.
  10. Opposing Associations of NT-proBNP With Risks of Diabetes and Diabetes-Related Complications.
    Birukov A et al., Diabetes Care. 2020; 43(12):2930-2937.

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