発がん性骨軟化症としても知られる腫瘍性骨軟化症(TIO)、は、Fibroblast Growth Factor 23(FGF23)を分泌する小さな腫瘍により引き起こされる希少疾患です。
今回の記事では、「TIO」と「FGF23」の関係について概要をまとめています。
オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)は、各種バイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,500本以上の文献で使用されています。
優れた品質を誇る、Biomedica社の測定キットをぜひご利用ください。
※日本では全て「研究用」試薬として販売されています。
TIOが及ぼす、QOLへの影響と治療手段
TIOの患者は、骨格関連の症状として進行性の骨痛、多発性骨折があり、筋肉関連の症状では筋力の低下が認められます。そして長期的な障害につながる可能性のある倦怠感に悩まされるため、QOLが低下します。
TIOの患者では、その非特異的な症状のために、誤診や診断の遅れが頻繁に生じ、正しい診断と治療を受けるまでに数年かかることもあります。その結果、TIOを持つ疑いがある患者に出会う医療関係者間の認識を高めることが重要です(1-3)。
最新の治療アプローチでは、画像誘導による腫瘍除去と、FGF23をターゲットとする完全ヒト化モノクローナル抗体によるTIO患者の薬物療法があります(4、5)。
FGF23 – 改めて知る、その役割と関連疾患
Fibroblast growth factor 23(FGF23)は、リン酸とビタミンD代謝の調節に重要な役割を果たしています。
FGF23は骨中の「骨細胞」と呼ばれる細胞で産生され、腎臓に働いてリン酸の再吸収を抑制し、尿中へのリン酸の排出増加をもたらします。
FGF23の過剰産生は、リン酸とビタミンDの産生異常をもたらします。高濃度のFGF23は、慢性腎臓病、低リン酸症性くる病、および腫瘍性骨軟化症を含む、多くの疾患と関連しています。FGF23濃度の上昇で、血清中のリン酸とビタミンDの濃度が低下し、骨の異常やその他合併症につながる可能性があります(6-8)。
FGF23の測定方法
Fibroblast growth factor 23(FGF23)濃度は、研究室の標準的な技術で血液サンプルから測定できます。循環FGF23濃度を測定する最も一般的な方法は、FGF23に対する特異的な抗体を使用し、サンプル中のホルモン量を検出する、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)です。
Biomedica社キットの特長
Biomedica社は、ヒト血清・血漿サンプル中FGF23の信頼性ある定量用に、【intactなFGF23】および【C末端のFGF23】の二つのELISAアッセイを提供しています。
- オーストリア・Biomedica社で製造開発されており、高品質なアッセイです。
- 多くの使用文献があります。
- FDA/ICH/EMEAの国際的な品質ガイドラインに沿ってキットのバリデーションを行っており、完全に検証済みです。
- 【intactなFGF23】および【C末端のFGF23】のELISAキットに使用されている抗体のエピトープ部分については、以下の記事もご参照下さい。
ヒトFGF23(Intact)ELISAキット
- 商品コード:BI-20700
- サンプル種:血清、血漿(EDTA、クエン酸、ヘパリン)、尿、細胞培養上清
- サンプル量:50 µl / well
- 感度:0.21 pmol/l (=5.4 pg/ml )
- 標準曲線範囲:0 – 60.8 pmol/l (=0 – 1,600 pg/ml)
- 交差性:FGF3、FGF19、FGF21には交差しない。
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
ヒトFGF23 (C末端) ELISAキット
- 商品コード:BI-20702
- サンプル種:血清、血漿(EDTA、クエン酸、ヘパリン)
- サンプル量:50 µl / well
- 感度:0.08 pmol/l (= 0.6 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 20 pmol/l (= 150.4 pg/ml)
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
その他関連ELISAキット
ヒトSclerostin
Sclerostin(SOST)は主に骨細胞で産生され、骨形成の主要な調節物質と考えられています。またWntシグナル伝達経路の可溶性アンタゴニストであるため、この経路の不活性により、骨の分解が起こります。
- 商品コード:BI-20492
- サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿、尿、細胞培養上清
- サンプル量:20 µl / well
- 感度:3.2 pmol/l (= 72 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 240 pmol/l (= 0 – 5,400 pg/ml)
- 交差性:Wise (Sostdc1) やNogginには交差しない。またラットやマウスのSclerostinには交差しない。
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
ヒトIL-6 ELISAキット
Interleukin-6 (IL-6)は、B-cell stimulatory factor 2 (BSF-2)、CTL differentiation factor (CDF)あるいはHybridoma growth factor or Interferon beta-2 (IFN-beta-2)として知られています。感染や組織損傷、生体防御において主要な役割を果たしています。
- 商品コード:BI-IL6
- サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿、尿、細胞培養上清
- サンプル量:100 µl/well
- 感度:検出限界:0.28 pg/ml(定量下限:0.78 pg/ml ※血清・血漿サンプル)
- 標準曲線範囲:0 – 200 pg/ml
- バリデーションデータ:こちらをご覧ください。
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
ヒトVEGF ELISAキット
Vascular endothelial growth factor (VEGFまたはVEGF-A)は、内皮細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、血小板、マクロファージ等、様々な細胞から分泌される成長ホルモンです。現在までに17のアイソフォームが同定されていますが、受容体結合に関与するN末端領域は全てのアイソフォームで保存されており、性質とタンパク質長を変えるC末端はアイソフォーム間で違いが見られます。
- 商品コード:BI-VEGF
- サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、尿、細胞培養上清
- サンプル量:10 µl/well
- 感度:検出限界:2.5 pg/ml(定量下限:15.6 pg/ml ※血清・血漿サンプル)
- 標準曲線範囲:0 – 2,000 pg/ml
- バリデーションデータ:こちらをご覧ください。
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
ヒトAngiopoietin-2 ELISAキット
Angiopoietin-2 (ANG2)は、分子量56.9 kDaのグリコシル化成長因子で、内皮細胞に特異的です。ANG2は胚血管で発現し、新しい血管系の形成に寄与しています。
- 商品コード:BI-ANG2
- サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿、尿、細胞培養上清
- サンプル量: 20 µl/well
- 感度:検出限界:3.7 pmol/l (= 203 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 400 pmol/l (= 0 – 21,960 pg/ml)
- バリデーションデータ:こちらをご覧ください。
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
製品に関する日本でのお問い合わせ先
Biomedica社製品は,フナコシ株式会社を通してご購入頂けます。
製品についての技術的なご質問は,
フナコシ株式会社 テクニカルサポート部
電話:03-5684-1620
FAX:03-5684-1775
E-mail:reagent@funakoshi.co.jp
までお問い合わせください。
参考文献
- Tumor-Induced Osteomalacia.
Florenzano P et al., Calcif Tissue Int. 2021; 108(1):128-142. - Global guidance for the recognition, diagnosis, and management of tumor-induced osteomalacia.
Jan de Beur SM et al., J Intern Med. 2023; 293(3):309-328. - Tumor induced osteomalacia – A long way toward correct diagnosis and management.
Filipová L et al., Bone Rep. 2022; 8;16:101180. - FGF23-related hypophosphatemic rickets/osteomalacia: diagnosis and new treatment.
Fukumoto S. J Mol Endocrinol. 2021; 66(2):R57-R65. - New treatments for rare bone diseases: hypophosphatemic rickets/osteomalacia.
Arch Endocrinol Metab. Marques JVO et al., 2022; 11;66(5):658-665. - Fibroblast Growth Factor 23-Mediated Bone Disease.
Gonciulea AR et al., Endocrinol Metab Clin North Am. 2017; 46(1):19-39. - Pharmacodynamics of Oral Cholecalciferol in Healthy Individuals with Vitamin D Deficiency: A Randomized Open-Label Study.
Nutrients. Fassio A et al., 2021; 2;13(7):2293. - Nationwide survey of fibroblast growth factor 23 (FGF23)-related hypophosphatemic diseases in Japan: prevalence, biochemical data and treatment.
Endo I et al., Endocr J. 2015; 62(9):811-6.
会社情報
会社名 | Biomedica Medizinprodukte GmbH |
部署名 | |
住所 | Divischgasse 4, 1210 Vienna, Austria |
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