急性腎障害(Acute Kidney Injury;AKI)は、外傷や薬物、感染等の影響で、腎臓が突如として機能喪失した際に生じます。
今回の記事では、急性腎障害と、骨由来ホルモンであるFibroblast Growth Factor 23(FGF23)の関係について特集します。
オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)は、各種バイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,500本以上の文献で使用されています。
優れた品質を誇る、Biomedica社の測定キットをぜひご利用ください。
急性腎障害とは?
急性腎障害は、外傷・薬剤・感染等が原因で腎臓の機能が突然喪失した際に生じます。その他の医学的な状態(例:血管閉塞、糖尿病、心不全、腎臓病および肝臓病、入院(ICU))に付随して、数時間もしくは数日以内に生じます。
Fibroblast Growth Factor 23 (FGF23)とは?
FGF23の作用の一つに、腎リン酸排出の調節機能があります。腎臓病により腎機能が低下すると、血清リン酸レベルが上昇し、FGF23が分泌されます。急性腎障害の患者では、リン酸レベルの高い状態が一般的に見られます(1)。
急性腎障害における有害転帰のマーカー:FGF23
FGF23レベルは急性腎障害と共に急速に上昇し、腎代替療法の必要性とも関連しています (1-4)。また1,500人以上の急性腎障害患者における大規模研究で示されたように、FGF23は予後予測のツールとなる可能性があります (3)。
急性腎障害患者におけるFGF23レベルの上昇を測定するほとんどの研究では、生物活性のあるintactなFGF23(iFGF23)および不活性なFGF23のC末端の両方を検出するアッセイが使用されています。FGF23産生の上昇を反映する結果になっても、FGF23の生物活性を必ずしも反映していないかもしれません(5)。
Biomedica社FGF23 ELISAキットと循環FGF23の定量
循環FGF23レベルには、活性のあるintactなFGF23および不活性なN末端/C末端フラグメントが含まれています。
FGF23の測定を測定するキットとしては2種類のアッセイタイプが市販されています(6)。
intactなFGF23測定ELISAキット (#BI-20700)はFGF23のN末端領域に対する抗体とC末端の領域に対する抗体を使用しているため、生物学的に活性のあるintact FGF23のみを検出できます。
C末端FGF23測定ELISAキット (#BI-20702)は、intactおよびFGF23の切断後に生じるC末端フラグメントの両方を検出します。
Biomedica社は血清・血漿サンプル用に2種類の高品質なFGF23アッセイを提供しており、日本ではBiomedica社のELISAキットを代理店のフナコシ株式会社よりご購入頂けます。(メーカー略称:BMC)
キットの特長
- オーストリア・Biomedica社で製造開発されています。
- 多くのトップジャーナルでの使用文献があります。
- FDA/ICH/EMEAの国際的な品質ガイドラインに沿ってキットのバリデーションを行っており、完全に検証済みです。
※日本では全て「研究用」試薬として販売されています。
FGF23(Intact)
- 商品コード:BI-20700
- サンプル種:血清、血漿(EDTA、クエン酸、ヘパリン)、尿、細胞培養上清
- サンプル量:50 µl / well
- 感度:0.21 pmol/l (=5.4 pg/ml )
- 標準曲線範囲:0 – 60.8 pmol/l (=0 – 1,600 pg/ml)
- 交差性:FGF3、FGF19、FGF21には交差しない。
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
FGF23 (C末端)
- 商品コード:BI-20702
- サンプル種:血清、血漿(EDTA、クエン酸、ヘパリン)
- サンプル量:50 µl / well
- 感度:0.08 pmol/l (= 0.6 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 20 pmol/l (= 150.4 pg/ml)
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
製品に関する日本でのお問い合わせ先
Biomedica社製品は,フナコシ株式会社を通してご購入頂けます。
製品についての技術的なご質問は,
フナコシ株式会社 テクニカルサポート部
電話:03-5684-1620
FAX:03-5684-1775
E-mail:reagent@funakoshi.co.jp
までお問い合わせください。
参考文献
- Fibroblast Growth Factor 23 and Klotho in AKI.
Christov M et al., Semin Nephrol. 2019. 39(1):57-75. - Fibroblast Growth Factor 23 Regulation and Acute Kidney Injury.
Zhou W et al., Nephron. 2022. 146(3):239-242. - Fibroblast growth factor 23 associates with death in critically ill patients.
Leaf DE et al., Clin J Am Soc Nephrol. 2018. 13(4):531–41. - FGF-23 levels in patients with AKI and risk of adverse outcomes.
Leaf DE et al., Clin J Am Soc Nephrol. 2012. 7(8):1217-23. - Fibroblast Growth Factor 23 and αKlotho in Acute Kidney Injury: Current Status in Diagnostic and Therapeutic Applications.
Neyra JA et al., W. Nephron. 2020. 144(12):665-672. - The Measurement and Interpretation of Fibroblast Growth Factor 23 (FGF23) Concentrations.
Heijboer AC et al., Calcif Tissue Int. 2023. 112(2):258-270.
日本の研究者より発表された参考文献
- Global Perspectives in Acute Kidney Injury: Japan.
Yamada H, Yanagita M. Kidney360. 2022. 29;3(6):1099-1104. - Acute Kidney Injury Affects Mid-Term Outcomes of Thoracoabdominal Aortic Aneurysms Repair.
Henmi S, Okita Y, Koda Y, Yamanaka K, Omura A, Inoue T, Okada K. Semin Thorac Cardiovasc Surg. 2022. 34(2):430-438.
会社情報
会社名 | Biomedica Medizinprodukte GmbH |
部署名 | |
住所 | Divischgasse 4, 1210 Vienna, Austria |
TEL | +43 12910745 |
FAX | |
Website | https://www.bmgrp.com/ |
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