Biomedica-FGF23


厚生労働省が実施・発表している「患者調査」によると、2020年の慢性腎臓病推計患者数は、入院23,300人・外来124,500人いるとされています(*)。慢性腎臓病(CKD)は徐々に腎機能を損ない、深刻な健康問題を引き起こします。腎機能の低下は、「リン調整ホルモン」であるFibroblast Growth Factor 23(FGF23)によってコントロールされている、血清中リン濃度の上昇を引き起こします。
慢性腎臓病後期では、FGF23とリン濃度の上昇により高血圧、血管石灰化、および左心室肥大といった心血管疾患と死亡率の増加をもたらします(1)。そこで、現在の実験的研究では、慢性腎臓病患者におけるFGF23と高リン酸血症予防のための新しい治療戦略が進められています。

オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)では、各種疾患のバイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、すぐに使用できるキャリブレーターとコントロールが含まれており、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,500本以上の文献で使用されています。

今回はBiomedica社の、FGF23 ELISAキットについてご紹介致します。

(*) 出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/
推計入院患者数,性・年齢階級(5歳) × 傷病小分類別
および
推計外来患者数,性・年齢階級(5歳) × 傷病小分類別 より

FGF23とは?

線維芽細胞増殖因子ファミリーのメンバーであるFGF23は、全長251アミノ酸からなるタンパク質で、24アミノ酸のシグナルペプチドを含みます。
FGF23の一部はアルギニン179とセリン180の間でタンパク質分解され、N末端断片とC末端断片を生成します。したがってヒトの循環系では、ホルモン的にIntactなFGF23と、不活性なN末端およびC末端断片が存在しており、循環血液中に存在するFGF23の量は、遺伝性または後天性疾患の両方で変化します。

FGF23の重要な機能として、リンとビタミンD恒常性の調節機能があります。慢性腎臓病の患者においては、リン酸塩の腎排泄の低下に応じて、循環血液中のFGF23の存在量が上昇します。

Biomedica社 FGF23 ELISAキット

Biomedica社では、Ready-to-useのFGF23(C末端およびIntact)のELISAキットを提供しており、日本代理店のフナコシ株式会社からご購入頂けます。

キットの特長

  • 高品質: 臨床サンプルでアッセイのバリデーションを実施、– ICH(*)ガイドラインに沿った精度と再現性
  • 使いやすい仕様:Ready-to-useのスタンダードとコントロールが含まれています。
  • 血清、血漿サンプルといった複数マトリックスに対応

(*) ICH (International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of pharmaceuticals for Human Use

※日本では全て「研究用」試薬として販売されています。

FGF23 (C末端)

  • 商品コード:BI-20702
  • サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿
  • サンプル量:50 µl / well
  • 感度:0.08 pmol/l (= 0.6 pg/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 20 pmol/l (= 150.4 pg/ml)
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

FGF23 (Intact)

  • 商品コード:BI-20700
  • サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿、尿、細胞培養上清
  • サンプル量:50 µl / well
  • 感度:0.21 pmol/l (=5.4 pg/ml )
  • 標準曲線範囲:0 – 60.8 pmol/l (=0 – 1,600 pg/ml)
  • 交差性:FGF3、FGF19、FGF21には交差しない。
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

腎臓学研究用バイオマーカーのカタログ

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日本での製品使用文献/参考文献

製品使用文献

Association of fibroblast growth factor 23 and α-klotho in hemodialysis patients during administration of ferric citrate hydrate: post hoc analysis of ASTRIO study.
Ito K, Yokoyama K, Nakayama M, Fukagawa M, Hirakata H. BMC Nephrol. 2021 Nov 10;22(1):374. doi: 10.1186/s12882-021-02575-9. PMID: 34758731; PMCID: PMC8582217.

Long-term changes in nail fold capillary abnormalities and serum fibroblast growth factor 23 levels in dermatomyositis patients with anti-melanoma differentiating antigen 5 antibody.
Hamaguchi Y, Mugii N, Matsushita T, Takehara K.J Dermatol. 2021 Jan;48(1):106-109. doi: 10.1111/1346-8138.15589. Epub 2020 Sep 9. PMID: 32902854.

関連文献

Nationwide survey of fibroblast growth factor 23 (FGF23)-related hypophosphatemic diseases in Japan: prevalence, biochemical data and treatment.
Endo I, Fukumoto S, Ozono K, Namba N, Inoue D, Okazaki R, Yamauchi M, Sugimoto T, Minagawa M, Michigami T, Nagai M, Matsumoto T. Endocr J. 2015;62(9):811-6. doi: 10.1507/endocrj.EJ15-0275. Epub 2015 Jul 1. PMID: 26135520.

Phosphate-Sensing.
Takashi Y, Fukumoto S.Adv Exp Med Biol. 2022;1362:27-35. doi: 10.1007/978-3-030-91623-7_4. PMID: 35288870.

製品に関する日本でのお問い合わせ先

Biomedica社製品は,フナコシ株式会社を通してご購入頂けます。

製品についての技術的なご質問は,
フナコシ株式会社 テクニカルサポート部
電話:03-5684-1620
FAX:03-5684-1775
E-mail:reagent@funakoshi.co.jp

までお問い合わせください。

文献情報

1. FGF23 and Phosphate-Cardiovascular Toxins in CKD.
Vogt I, Haffner D, Leifheit-Nestler M. Toxins (Basel). 2019 Nov 6;11(11):647. doi: 10.3390/toxins11110647. PMID: 31698866; PMCID: PMC6891626.

会社情報

会社名Biomedica Medizinprodukte GmbH
部署名
住所Divischgasse 4, 1210 Vienna, Austria
TEL+43 12910745
FAX
Websitehttps://www.bmgrp.com/
E-mailinfo@bmgrp.com