乳がんの早期発見、診断、予後および治療に、新規バイオマーカー探索は必須です。タンパク質のバイオマーカーは血液サンプルから簡単に測定できることから、乳がんの存在と重症度を特定し、患者の転帰がどの程度かを予測するのに役立ちます。
この記事では、近年、乳がんにおける有望な新規バイオマーカーとなっているPeriostin(ペリオスチン)について特集します。
オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)は、各種バイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,700本以上の文献で使用されています。
優れた品質を誇る、Biomedica社の測定キットをぜひご利用ください。
がん、乳がんとPeriostin
Periostinは、がんの発生、進行、および転移に重要な役割を果たすタンパク質です。特に乳がん細胞で過剰発現しており(1,2)、微小転移の存在とは無関係に、高濃度の血清中Periostinが疾患予測の潜在的なマーカーであることが示されています(3)。
腫瘍微小環境におけるPeriostin
細胞外マトリクスタンパク質のPeriostinは、組織の構造維持を担っているタンパク質のネットワークの一部であり、腫瘍の増殖および血管新生を促進する腫瘍微小環境のリモデリングに関与しています。
最近の研究では、Periostinが細胞外マトリクスの分解および化学療法抵抗性を促進することが示されています(4、5)。さらに、高転移性のがん細胞はPeriostin発現がん関連線維芽細胞(CAF)を活性化し、細胞外マトリクスをリモデリングし、がん細胞のリンパ管への脱出を促進し、体内におけるがん細胞の他のリンパ節への拡散を促進します(6)。
治療ターゲットとしてのPeriostin
乳がんにおける治療戦略として、Periostinをターゲットとする可能性が研究者によって調査されています。Periostinの阻害(ブロッキング)で、腫瘍成長と転移を抑制できる可能性があります。トリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞におけるPeriostinの役割および根底にあるメカニズムを調査した最近の研究では、TNBCの進行と関連し、潜在的な治療薬としてPeriostin中和抗体が機能する可能性が示されました。また人工抗Periostinペプチドアンタゴニストは、乳がんの化学療法抵抗性を打開するために開発されています(5)。
予後マーカーとしてのPeriostin
研究者らは、早期乳がん患者のコホートにおけるPeriostinの発現を調査し、Periostinが温存手術と放射線治療を受けた早期乳がんにおいて、局所再発および遠隔転移のリスク増加に関連していることを発見しました(7)。
509人の乳がんの原発性非転移性患者コホートにおけるPeriostinの血清中濃度を分析した研究で、研究者らは乳がんにおけるPeriostinの重要性を強調し、血清中のPeriostinは、疾患の予測のための潜在的なマーカーであることを提唱しています(3)。
Biomedica社のPeriostin ELISAキット
Periostinは、Biomedicaが製造開発したELISAで、ヒト血液サンプルから信頼性高く測定できます。
日本ではBiomedica社のELISAキットを代理店のフナコシ株式会社よりご購入頂けます。(メーカー略称:BMC)
キットの特長
- オーストリア・Biomedica社で製造開発されています。
- 国際的な品質ガイドラインに沿って完全に検証されています。
- 多くの研究と論文で使用されています。
- 少ないサンプル量で測定できます。
※日本では全て「研究用」試薬として販売されています。
ヒトPeriostin ELISAキット
- 商品コード:BI-20433
- サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿、尿、細胞培養上清
- サンプル量:10 µl / well
- 感度:20 pmol/l (= 1,800 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 4,000 pmol/l (= 0 – 360,000 pg/ml)
- 精度:アッセイ間 (n=10): ≤ 6 % CV; アッセイ内 (n=5): ≤ 3 % CV
- 交差性:ヒトPeriostinおよび他動物種のPeriostinの間の高い配列相同性から、カニクイザル、イヌ、およびネコPeriostinと交差する可能性があります。
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社 (製品リスト)
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
- 詳細なキャラクタライゼーションは、以下の論文で掲載されています。
Characterization of a sandwich ELISA for the quantification of all human periostin isoforms.
Gadermaier E et al., J Clin Lab Anal. 2018; 32(2):e22252.
マウスPeriostin ELISAキット
- 商品コード:BI-20433MS
- サンプル種:血清、血漿
- サンプル量:≤ 5 µl / well
- 感度:0.003 nmol/l (= 0.27 ng/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 16 nmol/l (= 0 – 1,400 ng/ml)
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社 (製品リスト)
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
参考文献
- Expression of periostin in breast cancer cells. Ratajczak-Wielgomas et al., Int J Oncol. 2017; 51(4):1300-1310.
- Expression of periostin in human breast cancer. Puglisi F et al., J Clin Pathol. 2008; 61(4):494-8.
- High serum levels of periostin are associated with a poor survival in breast cancer. Rachner TD et al., Breast Cancer Res Treat. 2020; 180(2):515-524.
- Periostin drives extracellular matrix degradation, stemness, and chemoresistance by activating the MAPK/ERK signaling pathway in triple-negative breast cancer cells. Wu J et al.,Lipids Health Dis. 2023; 16;22(1):153.
- Development of an engineered peptide antagonist against periostin to overcome doxorubicin resistance in breast cancer. Oo KK et al., BMC
- Periostin+ Stromal Cells Guide Lymphovascular Invasion by Cancer Cells. Null JL et al., Cancer Res. 2023; 5;83(13):2105-2122.
- Prognostic value of periostin in early-stage breast cancer treated with conserving surgery and radiotherapy. Li C et al., Oncol Lett. 2018; 15(5):8072-8078.
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