骨には重要な生物学的機能が多くあり、その疾患の研究では多くの骨関連バイオマーカーが注目されています。
特に、骨のリモデリング中に骨細胞から放出されるバイオマーカーは骨疾患の評価に使用でき、また有用な治療ターゲットとなります。このような骨バイオマーカーは、血清・血漿サンプルから、イムノアッセイ(ELISA)で簡単に検出・測定できます。
オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)は、各種疾患のバイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,500本以上の文献で使用されています。
優れた品質を誇る、Biomedica社の測定キットをぜひご利用ください。
ヒトの骨格が持つ機能
身体構造を形作る骨格系は、内臓の保護と支持に役立っています。これは筋-骨格系の一部を形成しており、身体の動作を支えています。
また、ヒトの骨は絶えずリモデリング(再構築)されています。リモデリングはダイナミックなプロセスで、骨を分解し、新しい組織へ置き換えることで、骨量を維持しています。
このような骨吸収と骨成長の継続的なサイクルは、『骨代謝』として知られています。
骨のリモデリングはどのように起こっている?
骨のリモデリングは、ホルモン・細胞シグナル伝達物質・骨細胞によって綿密に調節されています。関与している骨の細胞には、破骨細胞(Osteoclast)、骨芽細胞(Osteoblast)、骨細胞(Osteocyte)があります。
これらの細胞は、OsteoprotegerinやRANKL(receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand)といった分泌因子を介してコミュニケーションを取っています。この調節系により、リモデリングのバランスは維持されていますが、骨代謝のバランスが崩れると、骨疾患を引き起こすことがあります。
骨細胞は、多くの臓器に影響する内分泌機能を持つ事が報告されています。骨細胞は骨に最も豊富に存在する細胞種で、骨のマトリックスに存在します。骨細胞は骨形成の調節に大きな役割を果たしており、骨細胞関連のバイオマーカーであるSclerostin (SOST)、 Fibroblast growth factor 23 (FGF23)、 Dickkopf-1 (DKK-1)を放出します。
Biomedica社骨バイオマーカー関連ELISAキット
Biomedica社は、血清・血漿中の骨バイオマーカーを測定する、高品質なELISAキットを幅広く提供しています。
日本ではBiomedica社のELISAキットを代理店のフナコシ株式会社よりご購入頂けます。(メーカー略称:BMC)
キットの特長
- オーストリア・Biomedica社で製造開発されています。
- 1,200報以上の文献で広く使用されています。
- FDA/ICH/EMEAの国際的な品質ガイドラインに沿って、キットのバリデーションを行っています。
※日本では全て「研究用」試薬として販売されています。
Sclerostin
Sclerostin(SOST)は主に骨細胞で産生され、骨形成の主要な調節物質と考えられています。またWntシグナル伝達経路の可溶性アンタゴニストであるため、この経路の不活性により、骨の分解が起こります。
- 商品コード:BI-20492
- サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿、尿、細胞培養上清
- サンプル量:20 µl / well
- 感度:3.2 pmol/l (= 72 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 240 pmol/l (= 0 – 5,400 pg/ml)
- 交差性:Wise (Sostdc1) やNogginには交差しない。またラットやマウスのSclerostinには交差しない。
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
Osteoprotegerin (OPG)
Osteoprotegerin(OPG)は、骨を合成する骨芽細胞で産生され、骨吸収を阻害します。OPGはデコイ受容体として、そのリガンドであるRANKLと高い親和的で結合し、RANKLと受容体RANKとの結合を妨げ、破骨細胞の分化を阻害します。
- 商品コード:BI-20403
- サンプル種:血清、EDTA血漿、ヘパリン血漿、クエン酸血漿
- サンプル量:20 µl / well
- 感度:0.07 pmol/l (= 1.4 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 20 pmol/l (= 0 – 400 pg/ml)
- 交差性:ラット、マウスには交差しない。
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
soluble free RANKL (sRANKL)
RANKL(receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand)は骨芽細胞から分泌され、破骨細胞前駆体と成熟破骨細胞上のRANK受容体と結合します。RANKLは骨吸収を促進します。
- 商品コード:BI-20462
- サンプル種:血清、ヘパリン血漿
- サンプル量:150 µl / well
- 感度:0.01 pmol/l (= 0.2 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 2 pmol/l (= 0 – 40 pg/ml)
- 交差性:霊長類とヒトの間では、配列の相同性が>95%。これらの種では交差する可能性がある。
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
Intact FGF23
Fibroblast growth factor 23 (FGF23)は骨由来のリン酸塩尿ホルモンで、主に骨細胞と骨芽細胞から分泌されます。このホルモンはリンの吸収とビタミンの合成を抑制します。そして、中枢内分泌ホルモンとして機能し、体内のリン酸バランスを調節します。
- 商品コード:BI-20700
- サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿、尿、細胞培養上清
- サンプル量:50 µl / well
- 感度:0.21 pmol/l (=5.4 pg/ml )
- 標準曲線範囲:0 – 1,600 pg/ml (= 0 – 60.8 pmol/l)
- 交差性:FGF3、FGF19、FGF21には交差しない。
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
FGF23 (C-terminal)
- 商品コード:BI-20702
- サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿
- サンプル量:50 µl / well
- 感度:0.08 pmol/l (= 0.6 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 20 pmol/l (= 150.4 pg/ml)
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
Periostin
Periostin(POSTN)は骨の成長に関連する細胞外マトリックスタンパク質で、骨の表面を覆う骨膜に発現しています。Periostinは骨学、組織修復、腫瘍学、心疾患および呼吸器疾患や様々な炎症に関与すると考えられています。
- 商品コード:BI-20433
- サンプル種:血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、ヘパリン血漿、尿、細胞培養上清
- サンプル量:10 µl / well
- 感度:20 pmol/l (= 1,800 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 4,000 pmol/l (= 0 – 360,000 pg/ml)
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
Dickkopf-1(DKK-1)
Dickkopf-1(DKK-1)は細胞外タンパク質で、骨代謝を調節しています。またWntシグナル伝達経路の分泌型インヒビターです。DKK-1は骨芽細胞の分化阻害、すなわち骨形成を阻害します。DKK-1の調節不全はがんの進行をもたらすことがあります。
- 商品コード:BI-20413
- サンプル種:血清
- サンプル量:20 µl / well
- 感度:1.7 pmol/l (= 43.0 pg/ml)
- 標準曲線範囲:0 – 160 pmol/l (= 0 – 4,103 pg/ml)
- 交差性:ヒトDKK-2、DKK-4、Kremen-1、Kremen-2やLRP-6には交差・阻害しない。
- 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
- 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト」
製品に関する日本でのお問い合わせ先
Biomedica社製品は,フナコシ株式会社を通してご購入頂けます。
製品についての技術的なご質問は,
フナコシ株式会社 テクニカルサポート部
電話:03-5684-1620
FAX:03-5684-1775
E-mail:reagent@funakoshi.co.jp
までお問い合わせください。
日本の研究者による発表の関連文献
The Regulation of Bone Metabolism and Disorders by Wnt Signaling.
Maeda K, Kobayashi Y, Koide M, Uehara S, Okamoto M, Ishihara A, Kayama T, Saito M, Marumo K. Int J Mol Sci. 2019 Nov 6;20(22):5525. doi: 10.3390/ijms20225525. PMID: 31698687; PMCID: PMC6888566.
Osteocyte-Related Cytokines Regulate Osteoclast Formation and Bone Resorption.
Kitaura H, Marahleh A, Ohori F, Noguchi T, Shen WR, Qi J, Nara Y, Pramusita A, Kinjo R, Mizoguchi I. Int J Mol Sci. 2020 Jul 21;21(14):5169. doi: 10.3390/ijms21145169. PMID: 32708317; PMCID: PMC7404053.
Positive and Negative Regulators of Sclerostin Expression.
Iwamoto R, Koide M, Udagawa N, Kobayashi Y. Int J Mol Sci. 2022 Apr 28;23(9):4895. doi: 10.3390/ijms23094895. PMID: 35563281; PMCID: PMC9102037.
会社情報
会社名 | Biomedica Medizinprodukte GmbH |
部署名 | |
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