心血管のバイオマーカー (1):ナトリウム利尿ペプチド|Biomedica Medizinprodukte GmbH


バイオマーカーは、前臨床モデルにおける薬効研究に利用できる、貴重な測定対象です。
今回の記事では、心毒性バイオマーカーとしての「ナトリウム利尿ペプチド」について特集します。

オーストリアのウィーンに拠点を持つ「Biomedica Medizinprodukte GmbH」社(以下、Biomedica社)は、各種バイオマーカーの測定に有用な研究用のELISAキットを販売しており,日本ではフナコシ株式会社が代理店として販売を行っています。
Biomedica社のELISAキットは、国際的な品質ガイドラインに沿ってバリデーションされています。世界中でご利用頂いており、1,500本以上の文献で使用されています。

優れた品質を誇る、Biomedica社の測定キットをぜひご利用ください。

ナトリウム利尿ペプチドとは?

ナトリウム利尿ペプチドは、ナトリウムと血圧調節において中心的な役割を果たすペプチドで、これまでに以下の3種類が見つかっています。

  • ANP:Atrial Natriuretic Peptide (心房性ナトリウム利尿ペプチド)
  • BNP:Brain Natriuretic Peptide (脳性ナトリウム利尿ペプチド)
  • CNP:C-type Natriuretic Peptide (C型ナトリウム利尿ペプチド)

それぞれの前駆体が分解酵素で切断されると、生物学的に活性なナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、CNP)が生じますが、同時にそれぞれNT-pro ANP、NT-pro BNP、およびNT-pro CNPと言われる生物学的に不活性なペプチドも生じます。

この不活性なペプチドを心毒性バイオマーカーの候補とする研究が進んでいます。例えばNT-proANPは、げっ歯類において心血管の安全性バイオマーカーとして検証に成功しており(1)、NT-proBNPは、薬物性の心筋変性・壊死・心肥大の調査でも、測定対象とされています(2)。

NT-pro ANPとは?

NT-proANPは、心房内圧の上昇に応答して心房筋細胞で合成・貯蔵されます。循環NT-proANPレベルの上昇は、高血圧における心臓中の機械的ストレス上昇に伴う心不全と関連があります。
地域住民をベースにした研究によると、血漿中NT-pro-ANPレベルの上昇は、心血管イベントと死亡リスクを予測することを示唆しました(3)。

NT-pro BNPとは?

NT-proBNPは、心臓壁の収縮または圧負荷に応答して放出されます。心不全の「ゴールドスタンダード」とも考えられており、診断・予後の双方に有用とされています(4)。

NT-pro CNPとは?

NT-proCNPはパラクライン成長因子で、血管内皮を含む様々な組織で広く発現しています。研究者らは、冠状動脈疾患患者において、NT-proCNPと心機能・腎機能の関連を調査しました。研究結果では、NT-proCNPが不安定性狭心症患者での腎機能と強く相関し、死亡率および心臓病による再入院率の、独立した予測因子であることを示しました(5)。

Biomedica社心血管バイオマーカー関連ELISAキット

Biomedica社は、血清・血漿中の心血管バイオマーカーを測定する、高品質なELISAキットを幅広く提供しています。

日本ではBiomedica社のELISAキットを代理店のフナコシ株式会社よりご購入頂けます。(メーカー略称:BMC)

キットの特長

  • オーストリア・Biomedica社で製造開発されています。
  • 400報以上の文献で広く使用されています。
  • FDA/ICH/EMEAの国際的な品質ガイドラインに沿って、キットのバリデーションを行っています。

※日本では全て「研究用」試薬として販売されています。

NT-proANP

  • 商品コード:BI-20892
  • サンプル種:血清、血漿(EDTA、クエン酸、ヘパリン)、尿、細胞培養上清(ヒト・ラット・マウスサンプル)
  • サンプル量:10 µL / well
  • 感度:0.05 nmol/l (= 0.64 ng/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 10 nmol/l (= 0 – 127 ng/ml)
  • 交差性:他の長さのproANP、およびproBNPやproCNPとの交差性は、以下の通りです。
    proANP (1-30) <1%、proANP (31-67) <1%、proANP (79-98) <1%、alpha ANP (99-126) <1%
    proBNP (8-29) <1%、proBNP (32-57) <1%
    proCNP (1-19) <1%、proCNP (30-50) <1%、proCNP (51-97) <1%
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

NT-proBNP (ヒト)

  • 商品コード:SK-1204
  • サンプル種:血清、血漿(EDTA)
  • サンプル量:50 µL / well
  • 感度:3.0 pmol/l (= 25.4 pg/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 640 pmol/l (= 0 – 5,424 pg/ml)
  • 交差性:ヒトのみに交差
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

NT-proBNP(ラット)

  • 商品コード:BI-1204R
  • サンプル種:血清、血漿
  • サンプル量:10 µL / well
  • 感度:検出限界: 21 pg/ml;定量下限: 50 pg/ml
  • 標準曲線範囲:0 – 3,200 pg/ml
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社

NT-proCNP

  • 商品コード:BI-20812
  • サンプル種:血清、血漿(EDTA、クエン酸、ヘパリン)、尿、細胞培養上清(ヒトおよび非ヒトサンプル)
  • サンプル量:20 µL / well
  • 感度:0.7 pmol/l (= 3.49 pg/ml)
  • 標準曲線範囲:0 – 128 pmol/l (= 0 – 638 pg/ml)
  • 製品紹介ページ:Biomedica社 / フナコシ株式会社
  • 使用文献リスト:Biomedica社ウェブサイト「使用文献リスト

製品に関する日本でのお問い合わせ先

Biomedica社製品は,フナコシ株式会社を通してご購入頂けます。

製品についての技術的なご質問は,
フナコシ株式会社 テクニカルサポート部
電話:03-5684-1620
FAX:03-5684-1775
E-mail:reagent@funakoshi.co.jp

までお問い合わせください。

参考文献

  1. Cross-laboratory analytical validation of the cardiac biomarker NT-proANP in rat.
    Vinken P et al., Pharmacol Toxicol Methods. 2016; 77:58-65.
  2. Evaluation of Cardiac Toxicity Biomarkers in Rats from Different Laboratories.
    Kim K et al. – Cardiac Hypertrophy Working Group of the Predictive Safety Testing Consortium. Toxicol Pathol. 2016; 44(8):1072-1083.
  3. Plasma natriuretic peptide levels and the risk of cardiovascular events and death.
    Wang TJ et al., N Engl J Med. 2004; 12;350(7):655-63.
  4. NT-proBNP: The Gold Standard Biomarker in Heart Failure.
    McKie PM et al., J Am Coll Cardiol. 2016; 6;68(22):2437-2439.
  5. C-Type Natriuretic Peptides in Coronary Disease.
    Prickett TC et al., Clin Chem. 2017; 63(1):316-324.

日本の研究者より発表された参考文献

Atrial and brain natriuretic peptides: Hormones secreted from the heart.
Nakagawa Y, Nishikimi T, Kuwahara K. Peptides. 2019; 111:18-25.

The natriuretic peptide system in heart failure: Diagnostic and therapeutic implications.
Kuwahara K. Pharmacol Ther. 2021; 227:107863.

CNP, the Third Natriuretic Peptide: Its Biology and Significance to the Cardiovascular System.
Nakagawa Y, Nishikimi T. Biology (Basel). 2022; 29;11(7):986.

会社情報

会社名Biomedica Medizinprodukte GmbH
部署名
住所Divischgasse 4, 1210 Vienna, Austria
TEL+43 12910745
FAX
Websitehttps://www.bmgrp.com/
E-mailinfo@bmgrp.com